京都市内の社寺で楽しめる 秋の花だより

2021年9月1日 

シティリビング編集部

残暑が厳しいこの時季、社寺の境内や庭園にはさまざまな秋の花が咲き始めます。しっとりした風情の中、季節の移ろいを感じては。

※文中の見ごろは例年の場合、天候によって変わります

赤と白のコントラストが印象的なハギの隠れ名所

ハギは9月上旬から咲き始め、3〜4週目が見ごろに

街中にありながら、寺院周辺は静かなのでゆっくりと観賞できそう。三十三間堂の東、後白河法皇の御所「法住寺殿」の跡地に立つ「法住寺」は、秋の七草のひとつであるハギの隠れた名所のひとつです。垂れ下がった枝に赤や白の花がたくさん咲き、こぢんまりした境内でも存在感が。正門や本堂をバックに、趣のある写真を残しても。

法住寺

  • 京都市東山区三十三間堂廻り655
  • TEL:075-561-4137
  • 9:00~16:00
  • 拝観料/500円
  • 地下鉄「京都」駅下車、市バス「京都駅前」停から206号で「博物館三十三間堂前」停下車、徒歩約4分

コケ庭に映える優雅なシュウメイギク

まっすぐ伸びる姿には凛(りん)とした雰囲気が。見ごろは9月下旬〜10月上旬

江戸時代初期の武将かつ文人・石川丈山の山荘跡である「詩仙堂」は、国指定史跡。書院の奥に庭園が広がっており、坐禅堂「十方明峰閣」前などで一重咲きのシュウメイギクを見ることができます。キクと名付けられていますがアネモネの仲間。長い茎の先に咲く大ぶりな花が優雅です。薄紅色がコケの庭に映え、見ているだけで癒やされそう。

詩仙堂

  • 京都市左京区一乗寺門口町27
  • TEL:075-781-2954
  • 9:00~17:00(最終受け付け16:45)
  • 拝観料/500円
  • 地下鉄「松ヶ崎」駅下車、市バス「松ヶ崎駅前」停から北8号で「一乗寺下り松町」停下車、徒歩約7分

多様なサクラが集まる神社で出合う珍しいジュウガツザクラ

ジュウガツザクラは社務所付近や平野通沿いに植えられています。見ごろは10月中旬 写真提供/MKタクシー(写真左)

サクラの名所として親しまれ、約60種・400本のサクラが集まる「平野神社」。秋は1年に2度開花するジュウガツザクラに注目を。咲くのは全体のつぼみのうち3分の1で、残りは春に咲く珍しい品種だそう。その後もカンザクラの開花が続き、春まで長い期間観賞できるとか。サクラのオフシーズンに花見を楽しんでは。

平野神社

  • 京都市北区平野宮本町1
  • TEL:075-461-4450
  • 9:00〜18:00
  • 拝観料/無料
  • 地下鉄「西大路御池」駅下車、市バス「西大路御池」停から205号で「衣笠校前」停下車、徒歩約3分

貴重な原種のフジバカマが咲く国の名勝

見ごろは9月末〜10月中旬。こちらも秋の七草のひとつ

国指定の名勝である「平安神宮」の南神苑は、京都府で絶滅寸前種に指定されているフジバカマの原種を鑑賞できる、数少ない場所のひとつ。「源氏物語」の和歌にも登場するほど古くから親しまれ、はかまの形に似た藤色の花を咲かせます。苑内には20株植樹されており、蜜を求めるチョウを見かけることも。

平安神宮

  • 京都市左京区岡崎西天王町97
  • TEL:075-761-0221
  • 6:00〜18:00(10/1〜30は〜17:30)、神苑は8:30〜17:30(10/1〜30は〜17:00)
  • 拝観料/境内無料、神苑は600円
  • 地下鉄「東山」駅から徒歩約10分

時間帯で色合いが変化 スイフヨウに囲まれた寺

見ごろは9月中旬〜10月下旬。境内の休憩所で、花に囲まれてのんびり過ごしては

朝に純白の花を咲かせ、夕方に向けて紅色に色が変化していくスイフヨウ。酔った姿を思い起こすことからこの名前が付いたそう。山科の山裾に立つ「大乗寺」は約1000本のスイフヨウが境内を埋め尽くすため、別名「スイフヨウの寺」とも。通常一日で花がしぼみますが、気温が下がる10月は二日花に。白と紅の花が入り交じる華やかな光景になるのだとか。

大乗寺

  • 京都市山科区北花山大峰町38-1
  • TEL:075-591-5488
  • 自由拝観
  • 拝観料/無料
  • 無休
  • 地下鉄「御陵」駅から徒歩約15分

(記事元:「シティリビング京都」2021年8月27日号)