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読者のモヤモヤに答えます!きちんと知ろう プロテイン

2021年8月20日 

リビング編集部

近ごろは、スーパーやコンビニエンスストアなどでも見かけるプロテイン。飲料やゼリーなど、さまざまな商品が発売され、手軽に栄養補給ができると話題です。今回は、このプロテインとは何かを探ってみました。

イラスト/フジー

プロテインを飲んでいますか?

※2021年6月、リビング読者に
アンケート。有効回答数864

まずは、読者に「プロテインを飲んでいますか?」「プロテインのイメージは?」というアンケートを実施しました。

結果は、「飲んでいない」と答えた人が全体の72%(図参照)と半数以上。しかも、「飲んでいない」という人たちの多くは「体に良さそうだけれど、何にどう良いのか分からない」といいます。ほかにもいろいろなモヤモヤとした声が…。

そんな読者のモヤモヤを解決すべく、声の多かったものを京都華頂大学現代家政学部・食物栄養学科准教授の林育代さんに、詳しく教えてもらいました。

モヤモヤ1そもそもプロテインが何か分からない

「プロテイン(Protein)とは、タンパク質のこと。一般的には、これを手軽に摂取できる商品を総称して、プロテインと呼んでいるようです。

肉や魚、または牛乳や大豆などに含まれている、タンパク質の成分だけを取り出してパウダー状にし、さらにビタミンやミネラルといった栄養素をプラスしたものなどが、商品として登場しています」

モヤモヤ2スポーツ選手や筋肉を付けたい人、体を鍛えている人が取るものでは?

「スポーツ選手やボディービルダーが、〝いいパフォーマンスをするために筋肉を付けなくてはいけない〟というときに、活用しているのが、プロテインです。

運動やトレーニングをすると筋肉が一時損傷します。損傷した筋肉は回復しようとするときに、前より強くなっていきます。その際に、タイミングよくプロテインを取ることで、筋肉の回復を早めたり、量を増やしたりすることができます。それは、筋肉がタンパク質からできているから。

ですから、〝ムキムキになりたい〟という人に重宝されているのは確か。また、スポーツ選手とまではいかなくとも、きれいな筋肉のラインをつくりたいという人も、有効に利用してみると良いと思います。今では日常のいろいろな場面で、目的に応じて使われるようになってきました」

モヤモヤ3栄養不足が補えるってほんと?

「忙しくて食事をする時間がないときや、シニアで小食の方などは、プロテインでタンパク質不足を補うという方法も。ただ、むやみに摂取すればいいというものでもありません(『モヤモヤ7』を参照)」

モヤモヤ4美容やダイエットに効果があるといわれているけれど、それはなぜ?

「筋肉を付ける以外にも、肌や髪、爪、さらには女性ホルモンなど、タンパク質は体の細部にわたって必要なもの。タンパク質が不足すると、肌が荒れたり髪がパサつくことにもなりかねません。

タンパク質のほかに、ビタミンなどさまざまな栄養素を含み、それらが体の中で総合的に働くように商品化されているタイプのものは、美容への効果が期待されます。 

またダイエットについては、昼食など食事をプロテインに代える、〝置き換えダイエット〟というのをよく耳にします。

摂取カロリーが減る分、一時期は体重が減ると思いますが、長期的に使用して理想の体重を維持できたという報告はありません。食事制限をすることで筋肉量が減り、代謝が低下して痩せにくくなる場合も。置き換えダイエットをするのであれば、目標を決めて短期集中で」

モヤモヤ5鍛えていない人が飲むと、かえって太ると聞きましたが…

「プロテインは、〝動く〟と〝食べる(回復)〟のサイクルに活用することで、有効に働きます。体を動かさない状態でプロテインを飲むと、カロリーオーバーになって、太る可能性があります。

『運動をやめてしまったので太ってしまった』という人は、食事の量が運動していたときと変わらないままにプロテインを摂取していたため、体重が増えたのでは。つまり、摂取した量が消費しきれない状態になり、太ってしまったと考えられます」

モヤモヤ6いつ取ったらいいのか分からない

「プロテインには三つの種類があります。筋力アップや栄養補給など、さまざまな目的に応じて摂取するのがおすすめ。(下表)を参考に、自分に合ったものを見つけましょう」

種類 特徴 取るタイミング
ホエイプロテイン ヨーグルトの上澄みの液体のことをホエイといい、乳清タンパク質ともいいます。吸収が早いのがポイント 筋肉の疲労を早期回復させるのに適しているので、運動後や単発的なトレーニング直後の補給におすすめ。トレーニングと並行して取るのも良いでしょう。筋肉の増量を狙いたい人にもぴったり
カゼインプロテイン ホエイプロテインと同じく牛乳を主成分とし、牛乳の主成分のタンパク質を集めたもの。ホエイプロテインより吸収はゆっくり 間食として取るのが良いでしょう。忙しくて食事が取れずにおなかがすいたときや、昼食がパンだけだったのでタンパク質を補給したいというときにも
ソイプロテイン 大豆を原料とした植物性のプロテイン。女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンが豊富なので、女性におすすめ。カゼインプロテインと一緒で吸収はゆっくり 間食で空腹を紛らわせるといった使い方がおすすめ。ソイプロテインバーなどは、普通のチョコレートバーよりもタンパク質が取れるうえに腹持ちもします。糖質の少ないものを選ぶとよいでしょう

モヤモヤ7取りすぎるとどうなるの?デメリットもあるのでは?

「取りすぎて、体の調子が悪くなったという話も聞きます。

プロテインの種類にもよりますが、取り過ぎるとおなかがいっぱいになってしまい、食事が入らなくなることも。さらに、量が多すぎるとタンパク質が腸に残り、腸内細菌の餌となって腸内環境が乱れやすくなります。特に、便秘がちな人は、下腹部が張ってくることも。

また、別のデメリットとして、摂取しすぎると肝臓に負担がかかるという点が。摂取したタンパク質は、肝臓で代謝されて必要な分を体に送り込むのですが、プロテインの取りすぎによって肝臓がオーバーワークとなり、負担が普段より大きくなります。こうなると、体調が思わしくない、しんどい、だるいといった症状が表れる場合もあります。

タンパク質は体に必要な栄養素ですが、過剰に摂取するのは控えましょう。各商品に記載されている適量と適切なタイミングを守りつつ、うまく活用して生活を豊かにしてください」

\教えてくれたのは/

京都華頂大学
現代家政学部 食物栄養学科
准教授 林育代さん

「夏バテで食欲がないときなどは、ゼリータイプのプロテインで栄養補給をするのもおすすめです。その際は、十分な水分補給も忘れずに」

タイプいろいろプロテイン商品

「プロテイン」と名の付く商品には、パウダーや錠剤など、いろんなタイプがあります。目的に合わせて手に取ってみては。

パウダータイプ

水や牛乳に溶かして飲みます。愛好家も多く、チョコレート味などフレーバーも多彩。持ち運ぶときは、シェイカーなどの容器があると便利。

錠剤タイプ

ピルケースに入れるなど、持ち運びがラク。ただし、粉末タイプと同じ量のタンパク質を取ろうとすると、錠剤をたくさん飲まなければならない場合も。

ゼリータイプ

素早く摂取できるうえ、のど越しが良いので食が細くなった人が栄養補給をするのに良さそう。

飲料タイプ

そのまま飲めるので、粉末を溶かす作業がいらない点が好評。口当たりが良く、粉っぽさが苦手という人にはぴったり。

バータイプ

常温保存ができ、カバンに入れて持ち運べるなど、手軽に栄養補給ができます。

(2021年8月21日号より)