「さすてな京都」で“ごみの行方”を見てきました

2021年5月7日 

リビング編集部

〝おうち時間〟が増え、ごみの量も増えたという人もいるのでは。出したごみがどのように処理されているのか、「さすてな京都」で見てきましたよ。

撮影/桂伸也

横幅およそ6メートルにもなるクレーンが、目の前をゆっくり移動していきます。ここは伏見区の「京都市南部クリーンセンター」にある環境学習施設、「さすてな京都」。2019年10月に誕生したこちらでは、ごみの焼却処理やそれによるエネルギーの回収といった先端技術を間近にみられます。

吹き抜けの大きな「ごみピット」。巨大なクレーンは大迫力です
黄色い部分がクレーンの〝爪〟の実物大の模型。「大きさを体感してみて」と清水さん
市民から持ち込まれたごみは、こちらの粗大ごみピットに貯められます

まず圧倒されたのが「ごみピット」。谷のように大きく深い貯留場で、巨大なクレーンがごみを焼却炉へと運ぶようすはガラス越しでも迫力満点。一度にごみ収集車2台分、約4トンの量をつかめるというから驚きです。同センターでは一日約500トンものごみを処理しているそう。

「それらをただ焼却するだけではなく、電気を生み出しているという点が当センターのポイントです」と話すのは、スタッフの清水美沙さん。

実際に発電機を見ながら説明を聞きます。「ごみを燃やす際、炉の温度は900度以上にも。高温の排ガスを水で冷却する際に発生する水蒸気でタービンを回し、発電しているんです」

またこちらでは、生ごみを利用した「バイオガス発電」も。「微生物の力で生ごみを発酵させてバイオガスを生成。それを燃料に発電しています」。政令指定都市で初めて導入された最先端の設備で、各自治体からも注目されているのだとか。

これらにより約2万4000世帯分、例えると東山区全域以上の電力を日々生み出すことができるといいます。

環境について楽しく学べる体験型の施設

実際にペダルをこいで発電に挑戦も。作った電気で五山の送り火の模型が点灯
煙突を利用して作られた展望台
芝生の広がる屋上でお弁当を食べたり、足湯を楽しんだりも。タオルをお忘れなく

館内には環境についてのクイズや自転車をこいで発電ができるコーナーなどのほか、屋上にはごみ焼却のエネルギーを利用した足湯も。地上22階分の高さがある展望台に登れば、桂川や宇治川、周囲を囲む三山の景色が一望できます。見学者用のタブレット端末を使えば、以前この地にあった「巨椋池(おぐらいけ)」の眺めをVR(仮想現実)で見ることも。

同館を取り巻くビオトープでは貴重な植物の生育が見られます

「当館の周りや屋上にはビオトープを設けています。巨椋池に生えていた貴重な植物や虫の生態に触れることもできますよ」と清水さん。

定期的にイベントも開催していて、親子で訪れる人も多いそう。

「小さな子でも楽しみながら学べる当館。毎日出すごみは消えるわけではなく、これだけの施設でたくさんの人によって処理されていることをわかってもらえるかと思います。そして、ごみの減量や分別の大切さに気付いてもらえるとうれしいですね」

伏見区横大路八反田29番地。
京阪「中書島」駅または「淀」駅から市バス20号または京阪バス24A系統で「南横大路(さすてな京都前)」停下車、徒歩5分。
日曜は無料のシャトルバスあり
TEL:075(606)2548。
午前9時~午後5時、水休。※5/31(月)まで臨時休館
入場無料、予約不要
詳細はホームページ(https://sustaina-kyoto.jp)へ

(2021年5月8日号より)