京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!
当たり前にあると思っていたものがなくなったら
那覇の牧志公設市場の周りを歩くと、アーケードが連なり商店がひしめき合っている。黒糖が山盛りになっていたり三線(さんしん)がぶら下がっていたり。道路まで商品があふれ出し、町と店と人が混在となっている。本書を記した宇田さんの営む古本屋もそんな商店の一つ。建て替えのためと公設市場は解体され、雨風から店を守るアーケードもなくなった。
ぽっかりと穴が空いた「三年九か月三日」。
何かを主張するためではなく、誰かに伝えるためでもなく、ただ目で見て感じたことを淡々とつづる。当たり前にあると思っていたものがなくなったら、自分はどう過ごし、どう振る舞うだろう。そんなことを考えた。
■本の紹介者
開風社 待賢ブックセンター
鳥居貴彦さん
http://kaifusha-books.com/taiken/
(2023年8月5日号より)
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