【コレ読んで!】死にがいを求めて生きているの

2023年6月2日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

死にがいを求めて生きているの
朝井リョウ 中公文庫 (968円)

オンリーワンの風潮による若者たちの見えづらい苦悩

本書は古代から未来まで「海族」と「山族」の闘いを描くという共通ルールを決めた、8人の作家による壮大な競作企画の一つ。植物状態の智也と、献身的に見守る友人・雄介。この二人の青年をとりまく登場人物のそれぞれの苦悩は、タイトルにも通じる「生きがい」という誰もが一度は考える永遠のテーマが根底にあります。

人は生きがいを持たないといけないのか。生きがいを見いだせずにただ生きていればそれでいいのか。ナンバーワンよりオンリーワン。自分の価値と他人を比べ承認欲求を満たし、自分らしく生きるのが本来の生き方?自分の価値は自分で決めることの難しさを考えさせられる一冊です。

■本の紹介者
ことばのはおと
中村仁さん
 
http://www.kotobanohaoto.net/

(2023年6月3日号より)