【コレ読んで!】ことばの果実

2022年2月4日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

ことばの果実
長田弘 潮文庫(880円) 

身近な果実を特別にする詩人が紡いだことば

この本は詩人である著者が誰もが日常的に目にしているイチゴやバナナなどの果実についてつづったエッセー。われわれが普段食べ物としか意識していない果実が、詩人にとっては語るべき特別な物として存在していることがよく分かります。

〝番(つが)いのように二つ繋がったさくらんぼの実は息をのむほど端麗〟〝西瓜(すいか)はバスケットボールのようでどこか陽気〟など、語られる果実の数々は生き生きと生命力にあふれており、読んだわれわれにも果実が特別な物に見えてくるから不思議です。

身の周りの全てのモノに感動できるのであれば人生はもっと豊かになる。そんなことに気づかされる一冊です。

■本の紹介者
エレファントファクトリーコーヒー
畑啓人さん
 

(2022年2月5日号より)