東宇治図書館に新たに設けられた「子育て支援の本棚『いくじーずブックス』」。育児中の親に役立つ本を集めたこの書架は、一人の司書の気づきから誕生しました。
小さな子どもを持つ親なら、よく図書館に足を運ぶという人も多いのでは。絵本や児童書が借りられるだけではなく、図書館にはほかにも育児の助けになるヒントがあるようです。
今年2月、宇治市の東宇治図書館に新たに加わったのが、育児のための専門書架「いくじーずブックス」。発案者の西村恵里香さんに話を聞きました。
「『いくじーずブックス』は、子どもというより保護者のための本棚。〝育児をしている人たち〟という意味で名づけました」と西村さん。
書架には妊娠・出産や乳幼児期の育児に関するさまざまなジャンルの本がずらり。そばには子育て関連のフリーペーパーやチラシ類も。児童書エリアに隣接して置かれているので、こどもの絵本を借りに来たついでにも、すぐに手に取れるようになっています。
このような書架を設けたきっかけには、西村さん自身が感じた本の探しづらさがありました。
同館で昨年度から開催している0~2歳児向けの「赤ちゃんおはなし会」でのこと。保護者向けに子育ての参考になる本を紹介することにした西村さんですが、「どんな本にしようかと館内を探していたとき、あちこちに分散していてとても探しづらかったんです」。
例えば、親子向けのお出かけ情報は「旅行・観光」、離乳食レシピは「料理」、言葉の習得に関する本は「育児書」の書架に、といった具合。
「これでは、役立つ本も保護者に届かない」。そう考えて、従来のジャンルにとらわれず育児関連の本を集めたのが「いくじーずブックス」でした。
昨年には認知症の専用本棚「れもんブックス」も設置した同館。関連本をまとめることで利用者が増えたという前例もあり、「いくじーずブックス」の開設、運用もスムーズに進んだそう。
書架は、「れもんブックス」の書架と同様に、宇治市の認知症対応型介護施設「デイサービスセンターくりくま」に製作を依頼。本に貼られたシンボルマークのイラストは、同市出身で絵本作家のカワチ・レンさんが描きおろすなど、地元からの協力も。
新設する際に買い足した本もあり、書架には現在約100冊が並びます。利用者からも、「便利になりました」と好評とか。
「赤ちゃんを育てるのは手探りで不安なことも多いもの。そんな保護者が、これらの本と出合うことで育児が少しでもラクになれば。そして、図書館自体が親子のほっとできる居場所になればと願っています」(西村さん)
●宇治市五ケ庄三番割36-5 東宇治コミュニティセンター1階、TEL:0774(39)9182。午前9時~午後5時、月・第4木休