京都リビング新聞社では、「わかりあおうプロジェクト」を進行中。行政や団体によって作成されている、配慮や援助が必要な人のためのマーク。これらを多くの人に知ってもらい、お互いが気持ちよく暮らせるようになればとの思いから、今回も新たに五つのマークを紹介します。
障がいやさまざまな事情への誤解を解き、理解と思いやりを促すために生まれたマーク。
京都リビング新聞社では、各種マークを紹介すると共に、読者のみなさんと一緒に新たにマークを作りたいと考えています。「こんなことを知らせるマークがあったら良いな」という声を募集中。
「周囲の理解が行き届かず、困っている人がいる」「こんな苦労があることをわかってもらえれば暮らしやすくなる」という思いやエピソードを教えて。
おなかの中の赤ちゃんを守って
妊娠中や出産後まもない妊産婦が身に着けるマーク。妊産婦に優しい環境づくりを推進し、お母さんやおなかの中の赤ちゃんを守るため作成されました。
つわりで体調を崩しやすい妊娠初期など、見た目だけでは妊婦と分かりにくいことも。周囲に妊産婦だと伝えることで、緊急時には適切な処置が望めます。体調の悪そうな妊婦には声をかける、電車やバスで席を譲る、妊婦の近くでは喫煙しないなど、子育てを見守りましょう。
交通機関や飲食店などでは「禁煙にご協力ください」といった文と共に、提示されているところもあります。(厚生労働省「健やか親子21(第2次)」事務局)
〝歩かない〟が正しいマナー
「例えば右半身まひの人がエスカレーターに乗るとき、左側に立って左手で手すりを持ちたくても、後ろから歩いてくる人がいれば止まっていづらいですよね」と、東京都理学療法士協会のエスカレーターマナーアップ推進委員会。このマークは、病気やケガなどでエスカレーターの右側・左側に乗りたい人が、気兼ねなく立ち止まっていられるように考案されました。
「本来エスカレーターに歩行レーンはなく、手すりを持って両側に立ち止まって乗るのが正しいマナーです」(同委員会)。病気など事情のある人だけでなく、正しいマナーを周知したい人もマークを使えます。賛同する理解者が多くいれば心強いですね。
白杖を持ち、歩く人に理解と協力を
視覚障がい者の安全やバリアフリーに考慮した建物、設備、機器であることを表す世界共通のマーク。歩行者用の信号機などで見かけたことがある人も多いのでは。デザインは、視覚障がい者が白杖(はくじょう)を持って歩く姿。地面や周囲の状況の確認ができる白杖は、障害物との間のバンパーにもなります。叩いて音を立てながら歩き、周囲に存在を気付いてもらう意味も。全盲の人だけではなく、視野が欠けている、視力の弱い弱視者も白杖を携帯しています。
「一人で困っている様子であれば、勇気がいるかもしれませんが声をかけてください。電車内で席を譲ったり、危険なホーム上は誘導してもらえると特に助かります」と日本盲人福祉委員会担当者。
聞こえない人・聞こえにくい人との会話に
聴覚障がい者は、声をかけられたことが分からず無視していると誤解されたり、災害時には情報が届かず状況が把握できないことも。そこで、音声に代わる視覚的手段として、全日本ろうあ連盟によってマークが作られました。
「これらのマークは、ろう者など対応をお願いする側と、施設の窓口など対応する側の両者が使えます。災害時にマークの付いたバンダナを使って役立てたいという声も届いています」と担当者。
「手話で対応してください」「手話でコミュニケーションできる人がいます」という意味を表します。
「筆談で対応をお願いします」「筆談で対応可能」という意味。ろう者だけではなく、音声言語障がい者、知的障がい者、外国人なども含む、筆談を必要としている人が対象です。