長岡京市に、ユニークな視点で防災活動をしている市民グループがあります。名前は、「フセマルプラットホーム」。防災に役立つアイテムづくりや、楽しく学べるイベントを実施しています。
「フセマルのフセは防災の『防(ふせぐ)』、マルは記号の『○(マル)』が由来。防災を考えることをきっかけに人と人とがつながり、その〝輪=マル〟を広げ、安心なまちをみんなでつくっていきたいとの思いが団体名には込められています」と話すのは、「フセマルプラットホーム」事務局の山田日和(ひより)さん。
これまで自然災害などで被害を受けた経験が少ない長岡京市で、どうすれば地域の防災力を高められるのか。2017年から市民や同市の災害ボランティアセンターのメンバーが集まって話し合いを重ね、昨年「フセマルプラットホーム」として本格的に立ち上がりました。「子ども」「ペット」「家庭」「車いす」の四つのチームがあり、定期的にミーティングなどを行っています。
「『防災』とひとくちにいっても、気になるポイントは人それぞれ違います。例えば、参加者の1人が獣医師だったことから、『ペット×防災』チームは誕生しました。何を学びたいか〝入り口〟をはっきりさせることで、防災がより身近なものになります」(山田さん)
「家庭×防災」チームが実施したプログラム「身近なモノを使った救急法」での様子。段ボールをギプス代わりにした応急処置の実習中です
いずれのチームの活動も、気軽に楽しく参加できる点が魅力です。
例えば、「家庭×防災」チームが2月に開催したプログラムでは救急法のほか、非常食の食べ比べなども。「レトルトカレーって、常温でも食べられるんだね」といった会話を交わしつつ、備蓄について考えます。この日、妻と3歳の息子と初参加した〝子育てパパ〟の田畑さんは、「神戸の震災を経験したので、多くの人が現場であたふたすることは身に染みています。こうした知識を日頃から学べるのはありがたいです」と話します。
「車いす×防災」チームは体験イベントを実施しました。参加者は、交代で車いすに乗り、「エレベーターに乗ってみよう」「飲み物をゲット!」といった「まち歩きビンゴ」のミッションに挑戦。「街の中にある不便な場所に気付けた」という声があがりました。
「気張り過ぎず、和やかさも大切にしながら、活動を継続していきたいんです」と山田さん。「さまざまな人が、平常時に仲良く顔を合わせる機会を持てることも、地域の防災力アップにつながるのではと思います」
各活動については、ホームページ(https://fusemalu-nagaokakyo.amebaownd.com/)でチェックができます。問い合わせは、「フセマルプラットホーム事務局(長岡京市社会福祉協議会)」
=TEL:075(963)5508=へ。
震災発生直後の1時間、子どもたち自身が〝生き抜ける力〟を育む防災ボードゲーム「クツはいた!」を作成。月に一度、メンバーのトレーニングも兼ねて、公開練習会を開催しています。
「災害が起きた時、頼れるパパが増えれば地域は心強い場所になる」がモットー。「パパの防災力モリモリUPプロジェクト」と題し、非常食や防災クッキング、救命知識など年間を通して学びます。
障がいのある人が、災害時に〝こうしてほしい〟と自ら発信できる「ワタシノート」を製作。また、車いすユーザーが投稿した情報を地図に反映させるアプリ「wheelog」の体験イベントも実施。
災害時、ペットも一緒に避難できるのかなど、飼育者同士で情報を共有し、助け合える仲間をつくることが目標です。そのためのツールとして「わたしとペットの防災手帳」を作り、広めようとしています。