「ラジオでお口の体操を」。伏見区の市民団体が行っている活動が、「健康長寿のまち・京都市民会議」と京都市が創設した「健康長寿のまち・京都いきいきアワード2019」で大賞を受賞。その取り組みを取材しました。
毎週火曜日の午後0時30分。「『こんにちは~声のかけはし~』の時間です」。伏見にある「FM845」のスタジオから、元気な声が聞こえてきます。
このラジオ番組を担当しているのは、伏見の市民団体「地域と人と~かけはしの会」。2年前の結成以来、ラジオを通して主に高齢者に向けての情報発信を行っています。番組には、14人の会員の中から数人ずつ順番に出演。5月からは新コーナー「お口の体操」も加えて、30分の生放送に。
取材に訪れた日は「公開健口(けんこう)教室」ということで、スタジオには数人のリスナーも集まっていました。出演は、会代表の葛山(かつらやま)知佳子さん、富田幸代さん、井本和美さん、岡本早苗さん、市場多紀代さんの5人。
この日の生放送に出演したのは5人。右から葛山さん、市場さん、岡本さん、井本さん、富田さん
「どんぐりコロコロ」の曲に合わせて、頬を大きく膨らませる運動。口の周りがだんだんほぐれてきました
「まずは、『春がきた』に合わせてお口の体操をしましょう」。葛山さんの合図で曲が流れると、メンバーはマイクの前で舌を思いきり出したり、口の中で大きく回したり。見学のリスナーも一緒に行います。
そもそもこの体操は、口腔(こうくう)機能の低下や誤嚥(ごえん)の予防を目的として、京都市が2018年に作成したもの。童謡に合わせて舌の運動や唾液腺のマッサージなどを行います。番組では、「高齢者の健康づくりにつながれば」とこれを取り入れ、ラジオを聴きながら自宅でできるようにしているそう。
番組中の「町の情報コーナー」の様子。市場さん(右から2人目)が紹介した認知症予防のゲームにみんなで挑戦しました。「難しい~!」
町の情報を紹介するコーナーでは、メンバーそれぞれがピックアップした話題を話します。市内の紅葉やライトアップの話に続き、岡本さんは病気で声が出なくなったという自身の経験を紹介。口の体操を続けることで、少しずつ回復したというエピソードを語りました。
「高齢のリスナーさんの中には、病気やけがをしている人もいるかもしれません。放送を通じて、『あなたは一人じゃないよ』って伝えたいんです。私たちの話で少しでも心がほぐれてくれれば」と岡本さん。
生放送終了後、「時間内に収まってよかった」とメンバーはほっと一息。スタジオのリスナーと一緒にもう一度「お口の体操」を行いました。
放送終了後は、来場したリスナーと一緒に「お口の体操」。よく番組に投稿してくれるリスナーもいて、和気あいあいとした雰囲気に
「伏見は高齢者の割合が多いエリアです。1人暮らしも多く、一日中だれとも話さない、家に閉じこもっているという人も。ラジオなら、そんな人にもいろんな情報が届けられます。私たちと一緒に声を出して、口の体操をして、少しでも元気になってほしい。そして、外に出てみようと思ってもらえればうれしいですね」(葛山さん)
地域の高齢者の健康を願うメンバーの思いが、「健康長寿のまち・京都いきいきアワード2019」大賞の受賞へとつながったのですね。
FM845にて毎週火曜日 午後0時30分〜1時に生放送