かつてハスの名所として知られていた巨椋池(おぐらいけ)。宇治市、久御山町、伏見区にまたがる広大な池は、昭和初期の干拓によって消滅しました。
「宇治市植物公園」では、「巨椋池由来のハス」を保有。これは巨椋池の固有種で、日本植物園協会の「ナショナルコレクション」にも認定されているもの。その希少なハスが、現在次々と開花しています。
「こちらでは『巨椋池由来』のハスを約20年前から栽培しています」。そう話すのは、宇治市植物公園の植物管理・緑化推進主査の柳明宏さん。巨椋池の干拓によりわずかに残ったハス。愛好家などが1960年代から収集していたものを譲ってもらい、現在は62品種・90鉢を育てているそう。
それら「巨椋池由来のハス」が、日本植物園協会の「ナショナルコレクション」に認定されたのは昨年末のこと。同制度は、日本の貴重な植物を守り、後世に伝えることを目的として2017年にスタートしたもので、「巨椋池由来のハス」は全国で3例目の認定だそう。
「こうした制度を使うことで、多くの方々に地域の財産でもある植物に目を向けてもらえたら、と申請しました」
今年の5月、東北大学で行われた授与式にも出席した柳さん。認定証を受け取り、うれしさと共に品種の保全をしっかりとしていかなければという思いをいっそう強くしたといいます。
\これは見ておきたい!/
「巨椋池由来のハス」の中でも、特徴的な四つを柳さんに教えてもらいました。
※写真は以前のものです
「巨椋池由来のハス」は、植物公園内の「緑の館」前や「修景池」の周りに鉢植えで置かれています。品種を維持するために、別の種と交配しないようにしているのです。こまめに花を摘むなど、地道な作業が必要なのだとか。
注目はユニークな品種名。「巨椋の瑞光(ずいこう)」「巨椋の白鳥」など優美なものや、採取地にちなんだ「佐古外屋敷(さこそとやしき)」「ヘリ基地」「京滋バイパス巨椋ランプ南」といったものも。花に添えられたラベルを読むといっそう興味がわきそうです。
花の見ごろは7月下旬まで。紅や桃、白といった色や形も多彩なハスの花を間近でじっくりと鑑賞できます。なお、開花時期に合わせて毎年実施される「観蓮会」では、ナショナルコレクション認定の記念講習会なども行われます。
このほか、「象鼻杯体験」や「蓮ヨガ」(各20日・21日、象鼻杯体験は有料)、
「蓮の写真展」(21日まで)なども。いずれも入場料が別途必要
★詳細は同園のホームページ(http://uji-citypark.jp/botanical/)でチェック、
または電話=TEL:0774(39)9387へ問い合わせを