昨年の夏は、大雨や台風が京都を襲いました。自治体から避難情報が出された地域も多くありましたが、そのとき、あなたはどうしましたか? 命を守る大切な行動、読者アンケートから見えてきた「避難した」「避難しなかった」の理由には、心の動きも関係していました。いざというときのために、心も準備しておきましょう。
※アンケートは2019年5月8日~14日、リビングWeb会員に実施。有効回答数660
避難情報が出たときなどの行動について、リビング読者にアンケートを実施。結果は下のようですが、「避難しなかった」を選択した理由には、「いつも大丈夫だから」「近所の人たちも避難していなかったので」という声が。これは、「自分は大丈夫」「いつも大丈夫」と思ってしまう〝正常性バイアス〟や、「みんなまだ避難していないから大丈夫」と感じる〝多数派同調バイアス〟と呼ばれる心の動き。京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授の矢守克也さんによると、そう感じることは仕方がないことだとか。
「人はいつもやっていること、みんながしていることと違うことをするには、エネルギーがいります。なかなか、そうでない方向には踏み出せないんです」
しかし、一方で「東北地方に伝わる言葉で、『津波てんでんこ』の教えがあります。津波が予想されるときは、各自がバラバラに逃げよう、自分の命は自分で守ろうという教えだと知られていますが、それだけではありません。逃げている人を目撃すれば、自分も逃げなくてはと思います。そしてその人が逃げている姿を見て、また誰かが逃げようと思う。そうやって、みんなが逃げるという状態をつくることにつながります」と、言います。一人一人が率先して避難することが大勢の避難につながる、というこれも〝多数派同調バイアス〟の心の動きを利用したもの。これは津波だけではなく、水害などあらゆる避難時にいえますね。
このほか、いざというときに、速やかに行動できるようにはどうしたらいいのか? その対応策を次のページで紹介します。
※避難情報の経験がない人に聞きました
情報の種類 | 必要な行動 | 警戒レベル |
---|---|---|
避難準備・ 高齢者等避難開始 |
避難の準備をしてください。 (高齢者、障がい者、乳幼児などの避難に時間のかかる人とその家族や支援者は、避難を開始してください) |
レベル 3 |
避難勧告 | 避難を開始してください。 |
レベル 4 |
避難指示(緊急) | 直ちに避難を開始してください。 (逃げ遅れている可能性があります) |
「避難情報は、順番通りに段階的に出されるとは限りません。情報を出すレベルに達すれば、避難勧告が出ていなくても、避難指示が出ることもあり、急激に状態が変化して、避難勧告が出てそんなに時間がたたないうちに避難指示が出たりすることもあります」(矢守さん)
また、平成31年3月に「避難勧告等に関するガイドライン」(内閣府)が改定され、水害・土砂災害の際に出される避難情報と防災気象情報が5段階に整理されました。自治体から出される避難準備・高齢者等避難開始は「警戒レベル3」、避難勧告・避難指示(緊急)は「警戒レベル4」です。