ピアノの演奏に合わせて、小さな子どもと高齢者が一緒に楽器を鳴らしたり、ストレッチをしたり…。そんなユニークな参加型の健康音楽会「ドレミちゃんおんがくかい」が、城陽市内で開かれています。
1月24日、「城陽市地域子育て支援センター ひなたぼっこ」で行われた音楽会。主催は元ピアノ講師の信吉寛子さんを中心とした団体「ドレミちゃんおんがくかい」です。
観客席には十数人の高齢者。信吉さんが入場して電子ピアノで「こどもの世界」のメロディーを軽やかに弾き始めると、客席で手拍子が始まりました。すると何組かの乳幼児親子が、団員らとともに入場。さあ、音楽会の始まりです!
親子たちは、ステージと観客席の間に高齢者と向き合うように座ります。この音楽会には、“多世代交流”というテーマがあり、実は、入場してきた親子も観客席の高齢者も参加者です。
「以前は子どもたちにも観客席で見てもらっていたのですが、途中でぐずり出す子も多くて。子どもたちは団員と一緒に入場して他の参加者の視線を意識できる場所にいる方が、主役になった気分で飽きずに過ごせるんです」と、信吉さんの夫で司会進行役の信吉秀起さん。それに気付いてから同会はずっとこのスタイル。
また、もうひとつのテーマは〝楽しく体を動かすこと”。前半の演奏曲は童謡やアニメソングが中心。団員も参加者もピアノに合わせて手拍子を打ったり、鈴などの楽器でリズムをとったり。中にはステップを踏んで踊り出す子も。みんなでストレッチをする場面では、「痛い人はやめといてや」と寛子さんが注意を促し、笑いを誘います。
後半では、主に歌謡曲などの大人向けの曲が次々と演奏され、最後はポンポンを振りながら、みんなで「また逢う日まで」を熱唱。小さな子と高齢者が打ち解けた様子で声をかけ合う姿も見られました。同じ空間で音楽を楽しむことで、距離が縮まったようですね。
「ドレミちゃんおんがくかい」が活動を始めたきっかけは、2013年に、寛子さんの父親が入所していた介護施設で演奏したことでした。パフォーマンスが「元気が出る」と評判になり、他の介護施設や幼稚園・保育園にも演奏に行くように。昨年から地域の公共施設で毎月、異なる世代の人たちが一緒に楽しめる、団体名と同じ名前の参加型の健康音楽会「ドレミちゃんおんがくかい」をスタートさせました。当初、団員は信吉さん夫婦ら4人でしたが現在は計8人で活動中。
寛子さんの特技は、楽譜を一切使わず、聴き覚えのある曲を「耳コピ」によって再現すること。
「会場の雰囲気や季節に応じて毎回違う曲目を選曲し、ゆったりした曲の次はテンポの速い曲というように、メリハリある演奏を心がけています。ときには参加者の様子を見て、その場で曲目を変更することも」と寛子さん。この日も、後半で大人向けの曲を続けて演奏した後、「子どもたちが退屈しているな」と感じ、急きょ「おもちゃのチャチャチャ」を弾くことにしたそう。
「誰もがパフォーマーとして参加できる音楽会がこだわり。音楽を通して地域の人たちを笑顔にしたい」。秀起さんは「健康のためには笑いの要素も大切。寸劇や手品などの演出も積極的に取り入れています」と話していました。