三門上層からの眺望に、石川五右衛門が「絶景かな…」と感動する歌舞伎の名シーンも
掲げられている額「華頂山」の大きさは、畳2畳分以上
正面側の左右に阿吽(あうん)の金剛力士像が、後ろ側には唐獅子とこま犬が安置されています
〝京都三大門〟は、いずれも迫力十分! 再建などの事情は異なりますが、17世紀前半に造られたという共通点もあります。
高さ24m、横幅50m。国内最大級の木造の門が、知恩院の「三門」。1621年、江戸幕府2代目将軍・徳川秀忠の命を受けて造られたそう。
南禅寺の「三門」は、開創当時のものが火災で焼失。現在の門は、1628年、藤堂高虎によって再建されました。高さは約22m。「三門」とは、仏道修行で悟りに至るための三つの境地を意味しています。
1637~44年に建立された、仁和寺の「二王門」。高さは18.7mで、平安時代の伝統を受け継ぐ〝和様〟の様式が特徴。赤や黄土の彩色が、今も二王門のそこかしこに残っています。
熊野詣でを京都でも
写真は拝殿。正面上部に親子のヤタガラスが彫刻されています。東大路丸太町西北角に位置
熊野神社は〝京都三熊野〟の最古社。平安時代初期の811年、修験道の日圓(にちえん)が国家護持のために紀州熊野大神を勧請して創建しました。勧請とは、祭神を他の土地に分霊として迎えてまつること。その後、聖護院の鎮守社としてあがめられたのだとか。
注目は本殿の屋根瓦。ヤタガラスを表現した装飾が施されています。市バス「今熊野」停から徒歩3分
熊野信仰の盛んな平安時代末期の1160年、後白河法皇によって創建された新熊野(いまくまの)神社。「新熊野」と書いて、「いまくまの」と読むのは、「紀州の昔の熊野に対する京都の今の熊野」という当時の都人の認識に由来しているとのこと。
境内には、熊野信仰に縁の深い〝ナギ〟が植えられています。苦難をなぎ払い道を切り開くパワースポットとしても人気。哲学の道の南端にあります
熊野若王子神社も、1160年の創建。熊野信仰の神社といえば、神様のお使い〝ヤタガラス〟。熊野若王子神社の本殿の正面に掲げられた「熊野大権現」の額には、文字や模様にヤタガラスが描かれているのが分かります。
「世界各地にある、〝三大〇〇〟といったまとめ方。観光の視点から見ると、一つの仕掛けといえます」とは、同志社女子大学教授・天野太郎さん。地理学をベースにした歴史や観光について研究しています。
「江戸時代、京都を取り上げた『都名所図会』などのガイドブックが登場。このころから観光が盛んになり、おすすめポイントが〝パッケージ化〟されるようになったのではと思います。『面白い』という視点も大切。まとめ方の背景を考えるきっかけになれば、すばらしいですね」