京都の町では、石碑や史跡の解説板を見る観光客の姿を目にすることも。鞍馬口通と室町通が交差する角には「近衛家別邸 御花畑(おはなばたけ)御屋敷跡」の石碑と解説板があります。
「西郷隆盛、坂本龍馬、木戸孝允などが薩長同盟について話し合った場所です」と教えてくれたのは、歴史地理史学者の中村武生さん。この石碑と解説板を作ったNPO法人「京都歴史地理同考会」の理事長です。
歴史好きが集まり、10年前から石碑と解説板を建立している同会。2008年は薩摩藩の伏見屋敷跡、2013年は山本覚馬・八重の邸宅跡に建てられました。この並びに、何かピンときた人もいるのでは。
「当年、または次年のNHK大河ドラマゆかりの場所を選んでいます」
今まで14カ所に石碑と解説板をセットで設置。
「ドラマの舞台を旅で巡る人は多いですよね。通りすがりの人にも、『そんな歴史があったんだ』と知ってほしいです」
石碑に書かれたことは土地の歴史として定着するため、注意も必要だと中村さんは話します。
「誤りを後世に伝えないよう、気を付けなくてはいけません。一つの事柄ではなく、複合的に史実を紹介するように工夫していけたらとも考えています」
草むしりに、掃き掃除、伸びた木の枝の剪定(せんてい)。集まった人たちの力で、上京区の千本ゑんま堂(引接寺)がきれいになっていきます。
7月の下旬、こちらで美化活動をしていたのはNPO法人「京都観光文化を考える会・都草(みやこぐさ)」のメンバー24人。京都・観光文化検定試験の合格者を中心に、京都の歴史や文化を学ぼうとする人がそろっています。
「月2回ほどのペースでさまざまな寺社を訪れています」とは、美化活動部長・石崎良暉(よしき)さん。
「観光客には美しい境内で気持ちよく参拝してもらいたい。人手が足りないという寺社も多いので、隅々まで清掃するよう心掛けています」
メンバーは慣れた様子で作業を進行。伊藤義男さんは、参道の周辺で草むしり中です。
「参道は訪れる人がまず目にするところなので、特に力を入れています」(伊藤さん)
草むしりが終わったところで、伊藤さんが「掃き掃除をしましょうか」と声掛け。仕上げに砂や落ち葉を掃いて参道を清めます。そうして、約1時間半の作業が終了。
メンバーは「由緒ある寺社を、これからもきれいにしたい」と意気込んでいました。