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懐かしさを感じる読書空間

1993年の閉校以来、映画上映スペースやイベント会場として活用されてきた「元・立誠小学校」。4月、こちらに新たな施設「立誠図書館」がオープンしました。誰でも気軽に立ち寄って、本を読みながらくつろげるスペースです。

立誠図書館の館内。天井からつり下げられた幕には、立誠小学校の校歌が書かれています

木屋町通沿い、蛸薬師通を下がった場所にある元・立誠小学校。校舎は現在工事中で、2020年にはホテルなどの複合施設が開業予定です。

それに先駆けて誕生したのが「立誠図書館」。校舎の南側、以前はグラウンドだった場所に立つ仮設建物の1階にオープンしました。

館内の本棚や机、いすは、小学校にあったものを再利用しているとのこと。懐かしい雰囲気が広がっています。

「当館では約600冊を所蔵。本棚が3カテゴリーに分かれている点が特徴です」と、館長の岡見弘道(こうどう)さん。

「まずは京都の観光情報や写真集などを集めた『京都歩きの本棚』。『立誠小学校DNAの本棚』には立誠小学校の歴史にまつわる本、『食べる本棚』には食べ物に関する本をそろえています」

なかには昭和のころの子どもたちの写真集、精肉店一家の生活を追った本なども。映画関連の書籍も充実しています。

「明治時代はこの場所に電力会社があり、日本で初めて映画の原型〝シネマトグラフ〟の試写実験が行われました。それにちなんだラインアップです」

貸し出しは行っていませんが、閲覧は自由。併設されたコーヒースタンドで購入したドリンクを飲みながらの読書もOKです。

図書館の外にも見どころが。敷地の北側2カ所と南側1カ所の角、道路に面したこの3カ所には、図書館の本棚と同じ3つのカテゴリーの本を収めた「図書館ボックス」を設置。「道を歩く人も気になった本を手に取れるように」との思いから、生まれたアイデアだといいます。

  • 「本は、国内外で図書館や書店の選書を手掛ける、ブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)さんがセレクトしました」と岡見さん

  • 敷地の北側、蛸薬師通沿い。周りを囲うパネルに描かれた絵は、立誠小学校出身のイラストレーター・中川学さんの作品です。「図書館ボックス」には、同校の扉を再利用(雨天時を除く、午前11時~午後5時に開放)

地域の歴史や文化を伝える場に

木屋町通から見た立誠図書館。横には、高瀬川が流れています

「この辺りは、約400年前、京都の豪商・角倉了以が開削した高瀬川の水運とともに発展してきた地域です」と岡見さん。岡見さんは立誠小学校の出身で、長年立誠学区の地域活動に携わってきました。

「閉校以来、大人も自由に学べる場所を目指してさまざまな催しを行ってきました。その取り組みを発展させたのが、この立誠図書館。これからも地域の歴史や文化を伝える場として、多くの人に親しんでもらえたらと思います」

今後は、外国人観光客向けの本も増やしていく予定だそう。朗読劇のイベントといった、新しい企画も進行中です。

午前11時〜午後8時、不定休。入館無料。今後のイベントなどの情報はホームページ(https://www.bunmachi.org/)で紹介。問い合わせは立誠図書館=TEL:075(585)5561=へ。

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