梅雨の時期、雨が続くと外出がおっくうになりがちですね。そんなときは読書をして別世界へトリップしませんか。読むと旅をしたような気分になれる、おすすめの本を4人の書店員に聞きました。
「日帰り旅行は電車に乗って関西編」
ミシマ社/著:細川貂々
ジュンク堂書店京都店
森田千絵さん
本書は関西周辺に、電車で日帰り旅行をする様子を描いたコミックエッセー。メンバーは著者夫婦と息子、編集者の4人。下調べなし、予定変更ありの気ままな旅です。紹介してくれたのは「ジュンク堂書店 京都店」の森田千絵さん。「嵯峨野トロッコ列車でお花見を楽しむ話や、叡電に乗って鞍馬にてんぐを探しに行く話など、京都の電車も登場します。見た物、気付いたこと、食べた物などが細かく書かれているので、身近なスポットでもきっと発見がありますよ」
「ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集」
文春文庫/著:村上春樹
大垣書店 烏丸三条店
主任 藤並千春さん
世界的な小説家であり、旅行好きでもある村上春樹さん。アメリカのボストンやアイスランドなど、訪れた国での出来事を書いた1冊です。「一押しは題名になっているラオスの章です。ルアンプラバンという町で、民族音楽を聞いたり、気に入ったサルの像を眺めたり、村上さんの体験が詳細に描写されています。情景が目に浮かぶようですよ」と話すのは、「大垣書店 烏丸三条店」の藤並千春さん。早速ページを開いて、〝世界のムラカミ〟と同じものを見に出掛けましょう。
「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」
集英社新書/著:原田マハ
くまざわ書店
四条烏丸店 店長
佐々木俊章さん
「くまざわ書店 四条烏丸店」の佐々木俊章さんが薦めてくれたのは、絵画を紹介するこちらの本。「ピカソの『ゲルニカ』、ルソーの『夢』など、絵の説明のみにとどまらず、画家の生い立ちや暮らした土地、時代背景にもふれています。時間と国境を越えて、さまざまな場所を訪れているような感覚になりますね」。原田マハさんの作家人生に影響を与えた絵画、美術史の転換点となった絵画26点は、カラー収録されています。絵を鑑賞しながら、当時に思いをはせてみては。
「世界のおばあちゃん料理」
河出書房新社 著:ガブリエーレ・ガリンベルティ 訳:小梨直
丸善 京都本店
清村真帆さん
「ただのレシピ本ではありません」と「丸善 京都本店」の清村真帆さん。イタリア人の男性写真家が50カ国を旅しながら、58人のおばあちゃんを取材。彼女たちのポートレートや料理から伝わってくるのは、その国の歴史や文化、人々の生活です。「おばあちゃんの服を見て、ここは暑い地域なんだろうとか、この食材なら海が近くにあるのかなとか、そんなことを想像するのも面白いです」。知っている国へ、知らない国へ、世界中のおばあちゃんに会いに行ってみませんか。