理想の住まいを実現するには、大きな決断が必要ですね。何をきっかけに家づくりに踏み切ったのか、467人の読者に聞いてみました。アンケート結果から見えてきた三つのポイントについて、専門家の声を合わせて紹介します。
上の子どもが小学生になるタイミングで新築。家を建てるにあたって重視したのは、子どもたちと〝顔を合わせる〟ということです。リビングに階段を設けたのも、思春期になっても毎日必ず顔を合わせられるようにとの思いがあったから。普段の勉強も、子ども部屋ではなくダイニングテーブルか階段下のスタディースペースでさせています。家事をしながらでも、様子を見ることができるので工夫をしてよかったなと思っています。
NRさん/2013年新築
子育て世帯が家づくりを考える際、大きなポイントになるのが子ども部屋。何歳になれば部屋を与えればいいか、またその部屋はどのように作ればいいか、京都女子大学 家政学部 生活造形学科の教授・片山勢津子さんに聞きました。
「日本では、子どもが小さいうちは親と一緒に寝るのが一般的です。個室で寝るようになる時期は家庭によってさまざまで、早くて物心がつく3歳ごろ、平均で10~11歳ごろ。一方、フランスでは生後3カ月から個室で寝かせます。文化や家庭によってこれだけ異なるのですから、〝何歳から個室を与えるのが正解〟ということはなかなか言えません」
今回のアンケート結果では、小学校に上がると同時に個室を与えた家庭が多かったのですが。
「実際には、子どもの荷物を置くだけの場所になっていて、子ども部屋として機能していない家庭もあるのでは」と片山さん。
「ふすまで空間が仕切られていたころ、日本の家に『個室』はありませんでした。夫婦の主寝室と、子どもの数だけ個室を用意するという現代の間取りは、ごく新しいものなんです」。そのため、子ども部屋の役割があいまいなのではと片山さんは話します。
では、子どもが個室を持つメリットとは何でしょう。
「自立心を養い、自然な親離れ・子離れを促すことにつながると考えられます。そのためには、子ども部屋は子どもが好きなように使ってよい部屋と決めることが必要。同時に、〝持ち物はリビングに出しっ放しにせず、部屋に片付ける〟〝部屋の掃除は自分でする〟など約束事も決め、責任を持たせてみるといいですね」
写真をかわいく飾ったり、ポスターで雰囲気を変えたりと、インテリアを工夫することも創造力を育むことにつながるそう。
ですが、気になることも。個室にこもり、家族とのコミュニケーションが減るということも考えられます。
「思春期になれば、親と距離を取りたいと思うのは自然のこと。個室があるからといって家族とコミュニケーションをとらないというのは、一緒に生活する上でのマナーの問題。家庭で教えていきたいですね」
教えてくれた人
京都女子大学
家政学部生活造形学科 教授
片山勢津子さん