フェイスブックやツイッターなど、SNSについて教えてくれたのは、立命館大学総合心理学部総合心理学科の准教授・竇(とう)雪さん。相手の顔を見ずにやりとりできる分、警戒心が必要なシーンがあるといいます。
「例えば、誰でも見られるSNSのページで『家族旅行に来ている』と投稿した場合は、空き巣被害に遭うリスクが高まります。帰ってきてから投稿する、特定の友達だけが閲覧できる非公開ページを活用するなど、工夫するといいですね」
SNSを通じて個人情報を知られ、嫌がらせを受けるといったトラブルもあります。
「良い人だと思っても、素性が分からないうちから警戒を解くのは危険。住所や名前などの個人情報を教えたり、1対1で会うのは避けましょう」
SNS上の顔写真は、合成して悪用されるケースも。子どもにとっては、いじめに結び付くことがあるといいます。
「アメリカでは、顔写真だけで日本のマイナンバーのような番号を特定する技術が今後生まれるといわれています。個人情報を盗み、悪用する犯罪につながりますね。日本でもいずれ起こると考えておいた方がいいかもしれません。
とはいえ、SNSは今では身近なコミュニティーツール。行動範囲が狭くなりがちな高齢者にとっても、交流のきっかけになっています」
上手に使いこなせるかは、警戒心の持ち方次第といえそうです。
写真を投稿するタイミングや
公開範囲に気を付けます
警戒する、信用する。その心の動きにはさまざまな要因があるよう。
京都橘大学健康科学部の准教授・前田洋光さんは、「警察、消防署、市役所など、権威性のあるところからの情報は、どうしても信用しやすくなります」と指摘します。
「特殊詐欺はこの心理を利用しています。また、不安を解消するためならお金を払うというリスク回避の心理も、だまされる原因の一つ。『子どもが会社の資金を使い込んだ。すぐに返金するなら警察には言わない』といったうそを信じやすくなります」
ですが、人を疑うのはやはり抵抗もあります。
京都橘大学健康科学部
准教授 前田洋光さん
「例えば高齢者の見守り活動。親切な人に対し、『信用させて金品をだまし取るのでは』とは思いたくないですよね。善意には感謝しつつ、金銭面は一切他人に任せないと線引きするといいのでは。〝疑う〟ではなく、始めからルールにしておくのです」
前田さんが大事だというのが、身近な人との関係づくり。
「人は誰かと関わりたいという思いを持つもの。孤独だと、近付いてきた人物が少々怪しくても信用したくなります。友人や地域の人と、何かあったときに相談できる関係を築けるといいですね」