断るも断らないも、気持ちが大切

飲み会、町内の役。
断りたいシーンはほかにも…

「飲み会のお誘い。みんながその日を開けているので、自分だけ断りにくい」(はな・47歳)と〝みんなで〟参加する雰囲気のものは断りにくいとの声もありました。
「大人数であれば、1対1の誘いよりも関係性が薄く、行かなかったからといって不利益を被ることもないでしょう。自分の気持ちを大切にして」と田中さん。

断る理由はこちらも、〝自分の事情〟で。
「といっても、習いごとなどの自分磨きや、家族とのお出かけといった生活の充実ぶりをうかがわせる内容は、『そちらを選んだ』と思われてしまうことも。また、家族の世話などは、『私たちも都合をつけているのに』と、よくない印象を持たれてしまう可能性があります。相手を刺激しないよう気を付けて」

こまぐろさん(44歳)は、「町内会の役を上手に断れませんでした。数年で終わるかなと思っていたのですが、かなり長くなりそう」という経験が。自治会も、この先も継続する関係なので断りにくいですね。
「適性を評価して、依頼されているのだと思いますので、その評価はありがたいと、まずは相手を立てて返事を。その上で、断る場合はやはり〝自分の事情〟を説明するのが良いと思います。引き受ける場合でも、○年ならできる、こういう事情でできないこともあるなど、あらかじめ話しておくほうがいいでしょう」

相手を思いやって断わることが、コミュニケーションスキルとのこと。また、必要に応じて断ることも同様と田中さん。 「〝アサーション〟と呼ばれる表現の方法ですが、主張する場合は、自分と他者、両方を大事にしなくてはなりません」
田中さんによると、断るのが苦手な人は他者を尊重しすぎるタイプ。その結果、自分が負担を感じるのは自分を大切にできていないということだとか。一方、「嫌だから行かない」という断り方では他者を尊重できていないことになるそうですよ。

「こんな断られ方は嫌 」

  • 仕事で帰りが遅いとか、忙しいとかはナシです。みんな仕事をしていて忙しいです(こまぐろ・44歳)
  • クラス委員をしていたとき。役をくじで決めたものの、後になって「無理です」とメールが来た。どうせなら、決まったときに言ってほしかった(ぴよママ・42歳)
  • 遠方の友達から「京都へ遊びに行くかも。近づいたら連絡するね」と言われていたのに、それから音沙汰なし。こちらから連絡すると、「やっぱり行けなくなった」とのこと。心積もりをしていたので、落ち込みました。せめて向こうから連絡してきてくれたら…(MS・26歳)
  • 宴会の当日キャンセル。幹事だったら、お店との連絡に追われてしまう(マクドナルド・52歳)
  • ランチに誘っても行くのか行かないのかはっきりせず、当日になって「行くって言ってないでしょ」と言われた(りのあやママ・56歳)
  • 誘ったときに、「うーん、また今度にしようかなー」とあいまいな返事をされました。はっきりしてほしい(MHB48・48歳)
  • 食事の約束をしていた友人が、当日になって「ごめん、忘れていた!」とドタキャン。しかし別の人から聞いた話によると、遠方から友人が来ていて久しぶりに会うことになったのだそう。正直に言ってくれた方が良かった(YK・48歳)

人間関係の断捨離も

不要なものを整理する〝断舎離〟になぞらえて、「人間関係の断舎離」も近頃よく言われています。人付き合いをどのように整理すればよいか、ハートフルサポートcocomadoの代表で、臨床心理士の大槻まどかさんに教えてもらいました。

\教えてくれたのは/

先生

ハートフルサポート
cocomado代表
臨床心理士
大槻まどかさん

「断るのは失礼」「付き合いがあるから」という気持ちで受けていた誘いを〝断捨離〟の観点で考えてみると━。
「その人と会って話をしたとき、『また会いたい』と思うかどうかを基準に考えてみてください」

会うことで前向きな気持ちになれたり、ワクワクしたり、刺激を受けたりする、プラスな関係性を築くことができるのが、「また会いたい」人。 「もし、そうでないのであれば、適切な距離を保った方がよい人かも。断舎離といっても、『もう付き合いません』と宣言するわけではありません。仕事上会うのであれば、仕事の話だけに話題をとどめたり、誘われても断る回数を増やしたり。自分の気持ちが振り回されないようにすればよいのです」と大槻さん。

「お互いに思いやれる関係性は心地よいものです。本音で付き合っている人なら、『今回は行けない』と断ることもできるでしょう。無理をして付き合っているということを自覚することが、断捨離の第一歩かもしれません」

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