1955年以前の“旧乙訓郡”を立体地図で再現! 模型作りを通して、地元の地理や歴史を学ぶ取り組みをしている「模型制作工房」の活動に参加できますよ。
向日市文化資料館の1階奥、階段横の壁に白い、立体的な地図が掛けられています。大きさは、縦約180センチ・横約130センチ。1936年ごろの、向日市を中心にした地域の地形を2500分の1の縮尺で表現したものです。
「2004年、こちらも『模型制作工房』が作りました」とは館長の玉城玲子さん。
「今回はもう少し小さい縮尺にして、さらに範囲を拡大。長岡京市、向日市、大山崎町と京都市内の一部を含めた旧乙訓郡と呼ばれるエリアです」
制作するのは、建物が増えていくことで再現しにくくなる1955年以前の地図。1936年か1922年を予定しているそう。完成の目標は来年3月です。
作り方を玉城さんに聞いてみると―。
「まず等高線が書かれた同じ場所の地図と、地図と同じ数の厚さ約1ミリの薄いスチロール製のボードを用意します。ボードに地図を1枚ずつ貼り、準備完了。あとは等高線に沿ってカッターでボードを切り抜いていき、標高の順番に重ねていきます」。これで立体感が出るというわけですね。山の部分は10枚以上、重ねていくのだとか。
乙訓地域に点在する古墳も地図に反映。別に制作して貼り付けるという凝りようです。
「大変ではありますが、その制作を通しておもしろさが感じられるんです」
そう話すのは、同館スタッフの里見徳太郎さんです。
「昔は、向日市立第6向陽小学校や向日市市民会館の近くにも古墳があったことなどにも気づいてもらえるのでは。1922年の地図を制作する場合は、まだ電車の線路が走っていないことにも驚くかもしれません。沿線近辺の様子も住宅が少なく田んぼが多いなど、現在とは異なる姿が見えてくると思います」
これまで同館では「模型制作工房」とともに同様の地図制作を行ってきましたが、今回は4年ぶりの実施なのだそう。
「昨年、乙訓古墳群が国の史跡に指定されたことがきっかけです。〝乙訓郡〟のことをもっと知ってもらえれば」と玉城さんは、復活の目的を話してくれました。
過去の活動では、町づくりに興味がある人や模型や歴史が好きな人など、30人ほどが集まっていたとのこと。定年退職した人や主婦が多かったそうですが、なかには小学生の姿もあったそう。地図作りに参加して、親子で地域の歴史について考えるきっかけにするのもいいのでは。