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公家伝来の古文書など、京都関連の資料に探究心がくすぐられそう

50年以上にわたり、京都に関する資料の収集、保存、公開を手がけてきた京都府立総合資料館。昨年9月にいったん閉館となりましたが、このたび「京都府立京都学・歴彩館(れきさいかん)」として生まれ変わりました。学習・交流拠点といった役割も加わってパワーアップ。歴史・文化についての知識を深められる、新たなスポットの誕生です。

京都府立京都学・歴彩館

「京都府立京都学・歴彩館」。セミナーなどが行われる、大小二つのホールも造られました

京都府立京都学・歴彩館/京都学ラウンジ

「京都学ラウンジ」には職員が常駐。気になることがあれば尋ねてみて

京都府立京都学・歴彩館/展示室

「京都の歴史を彩る―近代の暮らし・楽しみ―」を開催中の展示室。7月9日(日)まで

京都学・歴彩館が立つのは、地下鉄「北山」駅の南側。1階「交流フロア」が昨年12月に、そして2階「探究フロア」が4月末にオープンしました。
「総合資料館が閉まってから、たくさんの方が完成を心待ちにしてくれていたんです。先日のグランドオープン初日は大盛況でした」とは、同館副館長・平井俊行さん。同館企画総務課の元岡賢蔵さんとともに、一般利用ができるエリアを案内してくれました。

まず向かったのは、1階奥の「京都学ラウンジ」。元岡さんは「学びや研究のための交流スペースとして、さまざまなワークショップやパネル展示を行っています」と話します。 その隣は「京都学デジタル資料閲覧コーナー」。ガラス張りの部屋にはパソコンが2台。どういったスペースなのでしょうか。
「こちらでは、東京大学史料編纂(さん)所でしか見られなかった“陽明文庫”の貴重な資料のデジタル画像が閲覧できますよ」(平井さん)

“陽明文庫”とは、近衛家伝来の古文書などを収める収蔵庫。藤原道長の直筆の資料も含まれています。「こんな筆跡だったんだ」と、知ることができそうですね。事前申し込みをすれば誰でも利用OKです。
次は少し戻って、入り口左手の展示室を見学。期間ごとに企画展が開催され、同館所蔵の資料などが鑑賞できます。今の展示テーマは“京都の近代”。京都府庁の設計図、明治期の京都博覧会の写真などが並びます。近代の京都はどんな雰囲気だったのか、想像がかき立てられました。

閲覧できる資料の数は、約94万冊

京都府立京都学・歴彩館/2階の探究フロア

2階の探究フロア。京都に関する資料のほか、府立大学、府立医科大学の図書もそろいます

京都府立京都学・歴彩館/元岡さん

「開館時間は午後9時までと、以前より大幅に延長。利用していただきやすくなりました」(元岡さん)

最後は、2階の「探究フロア」へ。京都にまつわるさまざまな資料を閲覧できます。
これまでとの大きな違いが、京都府立大学・府立医科大学付属図書館所蔵の図書も読めるようになったこと。もともとの同館所蔵資料約74万冊のほか、約20万冊が新たに保管されています。

「フロアには大学図書館が入っているため、学生も多く利用しています。幅広い世代が集まる場所となっているのも特徴です」と平井さん。
たくさんの本棚があるように見えますが、これは所蔵資料のほんの一部。地下1~2階には書庫があり、多数の資料が保存されているのだとか。書庫の本も取り寄せられるといいます。

「所蔵資料を多くの人に活用してもらえたらうれしいです。当館の敷地は、府立大学のキャンパス、そして府立植物園とひと続きになっています。文化的な場所として、この一帯がにぎわえばと考えています」(平井さん)
左京区下鴨半木町1-29(地下鉄「北山」駅から徒歩約4分)、TEL:075(723)4831。午前9時~午後9時(土日は5時まで)、第2水曜・祝日は休館日。

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