連休などで休みも多く、時間ができる時期。子どもに読んでほしい本を、地元の四つの図書館に聞きました。街なかの生き物にまつわる本や、友達がテーマの児童書など、さまざまなジャンルの1冊が集まりましたよ。
「このタイトルはどう読めば…」と児童書「おともださにナリマ小」を手にした記者に、「これは〝おともだちになりましょう〟という意味。中身を読めば、理由が分かりますよ」と、久御山町立図書館の辻井由美さんが教えてくれました。
物語の主人公は、ハルオ。山の中にある全校生徒15人ほどの小学校に入学したばかりの1年生です。
ある日、学校に行ったら何かがおかしいことに気が付きます。クラスメイトが服を裏返しに着ていたり、靴下がバラバラだったり。実はハルオがたどり着いた場所は―。
「コーンキーンコーンと、チャイムなんかも少し変で、くすっと笑ってしまいます。不思議でほんわかする友情の物語。挿し絵のイラストもかわいいですよ。身近な学校のことなのでイメージしやすいのではないかと思います」
アマガエルが案内人を務めるツアーが描かれた絵本「あまがえるりょこうしゃ トンボいけたんけん」。テントウムシやダンゴムシの一行がペットボトルのボートに乗り込んで、池の中を探検します。待ち受けているのは、背中で子どもを育てるコオイムシやひっくり返って泳ぐマツモムシ。
ツアーの参加者になった気分で、水の中に住んでいるさまざまな生き物について知ることができる本として、京都市伏見中央図書館・山田千都留(ちずる)さん(写真左)と、畔柳(くろやなぎ)葉月さんが推薦してくれました。
作者が新潟県の池を取材して描いたイラストは、かわいらしいタッチながら、細部までリアルに表現されています。
「水辺の生物の観察に役立ててもらえそう。生き物たちが住む自然について、考えるきっかけにもなるのでは」
家の近くの川、「いったいどこから流れてきているんだろう」と考えたことはありませんか。
絵本「よどがわ」では、全長170kmに及ぶ淀川を、赤鬼と男の子が雲に乗って巡ります。福井県の源流から始まって琵琶湖に流れ込み、やがて瀬田川、宇治川、淀川と名前を変え、大阪湾へと流れ込む様子が、上空から見たイラストに。地名や路線図、スポットの名前なども含めて細かく描き込まれています。
宇治市中央図書館の宝壁(ほうかべ)香織さんは、「巨椋池があった場所やかつてにぎわった伏見港のこと、周辺で起こった戦など、流域の小話や歴史も解説されています。地図が苦手なお子さんでも楽しく読めて、地域について興味を持つきっかけになりそうな絵本です」。
城陽市立図書館の西岡恵里さんが薦めてくれたのは、「生きものたちのわすれもの ①まち」。
「普通は一枚一枚落ちるサクラの花びらが、花ごと落ちているときはスズメの仕業。一体、何をしたのか。建物の隙間の少しよごれが見える部分、奥に隠れているのは、コウモリ、ネズミ、それともトカゲか。このようなクイズに写真を見て答えながら、生き物の生態について学べます」
題材となるのは、街なかで発見できるような身近な生き物たちの痕跡。
「『あれは何だろう』『なぜこうなっているの?』と、子どもたち目線で不思議に思うことが問題になっているのがいいですよね」