国登録有形文化財の「旧山田家住宅」は、久御山町東一口(ひがしいもあらい)地区の中ほどにあります。このほど、2年かけた修復工事が終わり一般公開がスタート。江戸時代に活躍した大庄屋の邸宅を見学できるスポットとして、評判を呼びそうです。
まるで武家屋敷のようだと評される「旧山田家住宅」。門をくぐると、敷地の正面には式台(玄関の土間に設置される板)を備えた主屋(しゅおく)、東側には築山式(つきやましき)枯れ山水の庭があります。
「立派な邸宅でしょう。山田家は江戸時代、この辺りの13の村をまとめた大庄屋(おおしょうや)だったんです」と話すのは、久御山町教育委員会社会教育課長の西野石一さん。
「旧山田家住宅」の北東側、今は田畑となっている場所には、かつて広大な巨椋池がありました。山田家はその漁業者の取りまとめ役として活躍。武士と同じように名字を名乗ったり、刀を持つことも許されていたのだとか。
「こちらの門は長屋門と呼ばれ、出入り口の脇に付き人などの部屋が設けられています。武家屋敷に多くみられる形式です。こうした重厚な造りの住宅を山田家が所有できたことからも、往時の巨椋池漁業の繁栄が感じられますね」
取材日は記念公開期間中だったこともあり、開館時間内に100人ほどの見学者が訪れていました。
主屋の座敷に入ると目に入ったのが、有名な絵師が手がけたという雲竜の襖絵(ふすまえ)。天井近くの欄間(らんま)には、細やかな木彫りの模様が施されるなど、細部にまでこだわりが感じられます。
要所ごとに案内板などが設置され、丁寧な解説も付けられていました。
「江戸時代の大庄屋の屋敷構えとともに、巨椋池の漁具や絵図など、この地ならではの資料にも注目してください」(西野さん)
今後の公開は、月に3回。ハスの開花時期や、地域の特産・淀ダイコンの収穫時期などには、特別イベントが予定されています。日程や詳しい内容はホームページ(http://www.town.kumiyama.lg.jp/)などでチェックできます。
問い合わせは久御山町教育委員会社会教育課=TEL:075(631)6111(代)またはTEL:075(631)9980(直)=へ。