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タンポポやホトケノザなど、道端に咲く草花が写真集に

道端に咲く草花の名前をどのくらい知っていますか?昨年、城陽市の観音堂に住む飛川輝隆さん・由利子さん夫婦が写真集「野の花―観音堂の里―」を作りました。載っているのは、2人の散歩コースに咲く170種類の草花。3月中旬の取材日、本を見ながらそのコースを歩いてみました。

全166ページと厚みのある「野の花―観音堂の里―」を持つ、飛川輝隆さん(右)と由利子さん(左)

「ほら、ここにも!」と、田んぼ沿いの道で、オランダミミナグサやギシギシ、ツクシ、レンゲ、マメグンバイナズナ、タネツケバナと、次から次へと春の草花を見つけていく由利子さん。輝隆さんからも、「こっちにタンポポが咲いてるで」と声がかかります。

「こんなにいろいろな草花があるなんて」という記者に、「見逃して通り過ぎてしまう人の方が多いですよね。少し立ち止まって足元を眺めてみたら、本当にさまざまな草花が見つかりますよ」とほほ笑む由利子さん。

飛川さん夫婦が写真集「野の花―観音堂の里―」を作成したのも、「身近な草花を知ってもらうきっかけになれば」という思いがあってのこと。

本には、由利子さんが愛犬と散歩しながら、3~4年の間、ほぼ毎日撮っていたという170種類の草花の写真がずらり。春、夏、秋、冬と、季節ごとに紹介され、それぞれに由利子さんによる解説も添えられています。

「素人なので学術的なことは分からないのですが、興味を持つ入り口になればと思って、見分け方や生えている場所、簡単な特徴などを書いています。タンポポなどの、みんなに愛されているような花もあれば、根絶に向けて活動している人たちまでいるアレチウリなどの外来種も載せています」

中でも注目というのが、レースのような不思議な花が開くカラスウリ。夕暮れから咲き始めて翌朝にはしぼんでしまいます。地域によっては珍しくなっているものの、城陽ではよく見られるそう。30分かけて花が開く様子を、夕ご飯の支度の合間をぬって撮影したのだとか。

「同じ植物でも、養分が豊富な場所では横に大きく育つなど、地域によって少しずつ違った顔をしていておもしろいですよ」

  • 「葉の形が仏様の台座のようなので、ホトケノザという名前なんです」(由利子さん)

  • 5mmほどの白い花が咲いているのはタネツケバナ。由利子さんによると、実が熟すと種が弾け飛んで、「パッチン、パラパラ」という音が聞こえてくるのだとか

  • オオイヌノフグリは田んぼ沿いの道で発見

  • タンポポのほか、レンゲ、ギシギシなどにも出合えました

  • カメラを構える由利子さん。「風が吹くと揺れたりして、けっこう難しいんです」

夫の熱い思いにより100冊の本が完成

幼いころから草花が好きだったという由利子さん。草花の写真は趣味で撮り始めました。写真集も、由利子さんからの発案かと思いきや、「記念になるようなものを作りたいと、提案したのは私でした」と輝隆さん。由利子さんは「とても人に見てもらうレベルではないと思っていて」と一度は反対しましたが、輝隆さんが「自分がまとめるから」と説得したのだとか。

輝隆さんは、退職したおととしの春から数カ月かけて、膨大な量の写真を草花の種類ごとに整理しました。

「ピンボケのものもいっぱいでしたし、見分けられないものもありました。作業は思った以上に大変でした。妻ほど詳しくないので、『これは何の花?』『どの部分を見せたくてどういう思いで撮ったの?』といちいち確認していました(笑)」という輝隆さんに、由利子さんは「一日中かかりっきりのときもあって、あきれるほどの根気でまとめてくれました」。

そうして完成したのが100冊の本。地域の子ども会や興味を持ってくれた人に無料で配ってきたそう。現在は、青谷コミュニティーセンターの図書室(城陽市市辺五島7―1、JR「山城青谷」駅すぐ)=TEL:0774(53)8273=で閲覧できますよ。

本を読んで、身近な草花に目を向けてみませんか。

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