宇治茶や鵜(う)飼い、宇治橋をめぐる合戦―。「宇治市民大学」の講座のテーマは、こうした宇治にまつわる事柄や、文化教養、歴史など。市民ボランティアによる「宇治市民大学運営スタッフ会」が手掛け、これまでに約300の講座を開いてきました。創立10年を記念して冊子を発行した同会の〝これまで”と〝これから”とは。
宇治や歴史についてのバラエティー豊かなテーマの講座が並ぶ「宇治市民大学」。講師も大学の教授や専門家、研究員など、毎回さまざまな人が務めています。
もととなるのは、1995年に宇治市が始めた「宇治生涯学習市民大学」。2003年から宇治市と市民が共同で企画・運営を行うようになり、2006年3月には市民ボランティアからなる「宇治市民大学運営スタッフ会」だけの力で、全てを手掛けるようになりました。
「全部を自分たちでやるということで、始めはそれはもう不安で仕方がなかったです。どんなテーマがいいのか、どうやって新しい講師に接触して依頼したらいいのかすら手さぐりの状態で。宇治市と共同で運営していたときの経験を頼りに一歩ずつ歩み始める状態でした」と、会長の吉田進治さん。
昨年9月、10周年を機に発行され、同会の講座の会場などで無料配布されている「宇治市民大学10年の歩み~講座開催の記録~」には、そんな運営の重圧や日々の苦労などもつづられています。
同会の現メンバーは60~80代の16人。その多くは、創立当時から所属しているので、吉田さんの言葉に「そうだったなぁ」と感慨深げ。
宇治のことを知りたい、多くの人に学ぶ機会を提供したい、との一心で年間約30講座を開き続けてきたといいます。
こうした地道な積み重ねの結果、「これまで延べ2万人に聴講いただきました」と吉田さんは、胸をはります。
また、年々強くなっている講師とのつながりも貴重な財産だといいます。今では、多くの人が喜んで教えにきてくれるようになったのだとか。
「今後は、若い人にも運営メンバーに入ってもらいたいという思いがあります。これまで積み重ねてきた人間関係や講座開催のノウハウなども引き継いでいきたいですね」
10周年を機に製作した冊子はもう1冊。2014年に実施した基調講演を、会のメンバーがまとめた「平等院創建と浄土思想 平安貴族の夢」(400円)です。「源氏物語ミュージアム」のショップや、講座当日に販売。
問い合わせは、吉田さん=TEL:080(1526)6042=へ。