昨年9月、「地域の人たちが気軽に集える場所をつくりたい」と伏見に開設された「ことはいカフェ」。年齢を問わず誰でも参加できる「うたごえカフェ」や「新聞ちぎり絵」、子育て世代のための「ベビーマッサージ」などが毎週開かれ、交流の場としてにぎわっています。
記者が、会場となる伏見のマンション「コトーハイツ伏見稲荷」の集会所に足を運んだのは、開始10分前。この日は、みんなで歌って楽しむ「うたごえカフェ」の開催日です。会場内にはすでに20人以上の人が集まり、「わー、来てたんやね~!」などと話す姿が見られました。
「今日はうれしいことに盛況です」とは、「ことはいカフェ」を主催する「コトーハイツ伏見稲荷きずなづくり事業実行委員会」の上平知子さん。
歌う曲は、参加者が開始前にカードに記入したリクエストから決定。「まずは、春を感じる歌からいきましょう」と上平さんから曲が発表されると、「知ってるやつやわ!」「いい曲やね~」という声も聞こえてきます。
上平さんのピアノ伴奏と、同メンバーの氏本さんが奏でるフルートの美しい音色に合わせて、口を大きく開けて歌う人や、手や足でリズムをとる人、目をつむりながら口ずさむ人…。それぞれのスタイルで歌う様子を見て、記者も思わず手拍子をしてしまいました。
「次の曲は教科書にもよく載っていますよ」「実は作曲者は…」など、上平さんから曲にまつわるエピソードも聞きながら、2時間で歌ったのは約20曲。中盤には、お茶やコーヒーを飲んだりお菓子を食べながら休憩する時間も。隣の人同士で話したりと、にぎわっていました。
何度か訪れているという参加者からは、「おなかの底から声を出すと気分転換になります」「一人なら音痴がばれて恥ずかしいけれど、みんなで歌うから楽しいですね」といった声が。「いきなり知らない方としゃべるのは緊張しますが、歌ということで来やすかったです」という初参加の人も。
そもそも、「ことはいカフェ」開始のきっかけは、「コトーハイツ伏見稲荷」の住民にむけて昨年行われたアンケート。そこで、「隣に住む人のことすらよく知らなくて不安。住民が集える場所があれば」「乳幼児を持つ親が交流できる場所がほしい」など、住民同士のつながりを求める声が回答者の6割を超えたのだとか。
これを受けて、コトーハイツの自治会長・久守さんが声をかけたのが、音楽のボランティアグループ「京都ピアノとうたの音楽ひろば」の代表を務める上平さんでした。
「2013年から京都の各地で、地域の人が集える場所となるように『うたごえカフェ』の活動をしています。久守さんがコトーハイツでもやりたいと言ってくださり、昨年、一緒に実行委員会を立ち上げました」と上平さん。現在は、10人ほどのメンバーで活動しています。
「居場所というのは、行きたいと思ったときに開かれていないと」「歌だけだと苦手な人は来にくいのでは」などの話し合いを重ね、今のように毎週、「新聞ちぎり絵」や「ベビーマッサージ」なども含めて、何かしらイベントが開かれるように。
「申し込みも不要にしているので、どの地域の方も気軽に足を運んでください。今日は桂から来てくださった方もいらっしゃいましたよ」
問い合わせは、同実行委員会=TEL:090(1903)3347(久守さん)=へ。