夫と2人の子ども、そして60代の母親と暮らすMさん(39歳)。4年前、マンションから築十数年の一戸建て住宅に引っ越すことになったとき、気になったのが階段でした。
「少し角度が急で、母が靴下をはいて上り下りしたら滑ってしまうんじゃないかと心配で。母も気になるようでした」
そこで入居後、安全のために手すりをつけることに。
「工夫したのは、位置。母も小柄ですし、子どももつかめるぐらいの高さの方が便利だと思い、少し低めにと、お願いしました」
取り付けたのは、階段の床板からおよそ70cmの高さ。取材日、2歳の息子は階段を上るときには、両手両足を使って一段ずつ上っていましたが、階段を下りるときには手すりをつかんで、立って下りていました。大人にも子どもにも使いやすい高さなんですね。
手すり設置の際、脱衣所に棚も取り付けてもらいました。
「階段の真下で、デッドスペースになっていたんです。うまく使えればと、棚板を付けてもらいました。バケツやボックスが置けるようサイズをはかって、位置を決めたんです。ちょっとしたことですが、とても助かっています」
アンケート結果を見ていると、リフォームした場所で多かったのは、浴室やトイレ、洗面所、キッチンといった水回り、そして窓。
「築25年がたち、古くなっていたので、トイレ、洗面所、寝室をリフォーム。寝室は窓を二重ガラスにし、断熱材を入れたことで、保温性が上がりました」(M)、「要介護の祖母のために、風呂場をリフォームしました。手すりを付け、滑らない床に替え、段差もなくしました。祖母だけではなく、家族全員が快適に」(A)と、これまで紹介した3つの事例のように、年数がたったことや高齢の家族を考慮してといったことが主な理由のよう。
窓のリフォームでは、明るさにこだわったという人も。「日当たりの悪い部屋に明かりをいれるために天窓をつけた」(S)、「玄関は明かり取りがなかったので、暗く陰気なイメージでした。リフォームで天窓を取り付け、かなり明るく開放的になりました」(Y)
新たに窓を設けることは、家の構造によってできない場合もありますが、明るい空間にしたいと考えている人は天窓も一つのアイデアといえそう。
大掛かりな間取りチェンジをした人もいます。「子どもがよく動くようになったので、少しでも広くしようと間仕切りを取った」(R)や、「昨年、全面的にリノベーションを行いました。各自の部屋はほぼ寝るだけなので、キッチンやリビングなどの家族がほとんどを過ごす共有スペースの充実を心掛けました」(N)と広くしたり、共有部分を重視した人もいれば、「子どもが増えたので、仕切り壁で大きい部屋を2部屋にした」(C)と、新たに部屋を増やしたケースも。家族ごとに、住みやすい家の形があるのですね。
ホームセンターで道具や材料を購入して、自分でリフォームをした読者もいます。家族で協力して修繕すれば、それも思い出になりますね。自分のペースでできる点もメリットです。
自分で、または家族が行った「セルフリフォーム」「家の修繕」の事例もアンケートで募集。回答で目立ったのは、「老朽化で壁紙の端がめくれていたところを接着剤で付けた」(A)、「畳が傷んできたので、寝室に床板を張った」(M)というような、室内の壁、床などの家の内部。それぞれ、室内の壁に関する回答は414人中76人、床に関する回答は37人といった結果でした。
そのほか、「子どもが破いた障子を張り替えました」(A)、「穴の開いている部分があったので、夫が網戸の網を張り替えた」(Y)など、障子や網戸の修繕は「自分たちで」と言う人が多いようです。
反対に、水回りや外壁、屋根に関する答えもありましたが、こちらは少数派でした。
また、「トイレの床がはげて汚くなってきたので、ホームセンターで購入したビニール製のシートで張り替えてみた。案外簡単だった」(K)という人もいれば、「タバコのヤニで汚れた部分に、自分で新しい壁紙を張ったが、上手にできなかった」(M)という人も。出来栄えもいろいろのようです。
リフォームや修繕が必要になる前に、使い方を工夫したり、日々手入れをすることで、家の〝持ち〟は変わってくるもの。皆さんが実践中の普段のケアを紹介します。