クリスマスはタヌキに化かされる?
東山区で活動をしている「若手の会」が、「寸劇大絵巻&クリスマスライブ」を開催します。タヌキと人間が繰り広げる、クスッと笑えて、じーんとする〝寸劇大絵巻〟が楽しめる催しです。さて、一体どんな劇なのでしょう。
「じゃあ、通しでやってみましょう」
「若手の会」の発起人である内河大造さんの言葉で、練習に集まっていたメンバー3人が定位置に着きます。
ここは、当日の会場としても使われる京阪「三条」駅近くにある旧有済小学校内の「ふれあいサロン」。50畳ほどの和室を入ると、正面に大絵巻の舞台装置が目に入ります。一見すると紙芝居の仕掛けに似ていますが、違うのは紙が一畳分ほどあること、それがつながって全長30mほどになっていること、ハンドルを巻くことで紙を動かすこと!
まずは小学5年生・上砂将貴くんの「口上」からスタート。続いて芝田厚さんの「民話の語り」。練習前の口調からガラリと変わった、朗々とした声が響くとその場の雰囲気が一変します。
合わせて15分ほどの演目ですが、内河さんの「顔は客席に向けましょう」「手のひらはもっと広げたほうがいいですね」といったアドバイスが次々と入ります。
その後がメインの“寸劇大絵巻”。「きょうとしらかわ たぬきばし なすありじぞうがいでん」という題目です。幕ならぬ、すだれが上がると、そこに絵が現れ、弁士の語りとアコーディオン奏者の伊吹知江子さんによる音楽に合わせて絵が変わっていきます。
おもしろいのは絵から登場人物が飛び出てきたように、上砂くん演じるタヌキが歌ったり踊ったり、芝田さん演じる町人が芝居をしたりすること。絵を変えるタイミング、声の調子など細かい調整や確認も行われます。
絵巻が終わると、クリスマスソングのメドレーと旧有済小学校の校歌を合唱して、通し稽古は終了しました。
今回の大絵巻は、内河さんのオリジナル作品。
「祇園の白川にかかる『狸橋』の名前の由来が気になったことがきっかけ。図書館で調べたり、地域の高齢者に聞いた話を参考にして作りました」。物語は、狸橋で七左衛門が入った店の女中が実は。…と、この続きは当日のお楽しみということにして、今日は女中役は内河さんがしていましたね。
「本当は女性が演じますが、今日はお休みで。今も出演者、スタッフともに募集中なんですよ」
ところでそのメンバーの母体となる「若手の会」は、どういうグループなのですか。
「東山に関わる若い人がつながることで地域の絆が強まれば、との思いで今年4月に発足しました。この大絵巻を通して、地域に興味を持ってもらい、歴史を継承していければと思います」
内河さんに声をかけられ参加した芝田さんは、「芝居をするのは初めて。知らないことに挑戦すると世界が広がりますね」。
世界だけではなく夢も広がります! 京都の通りの名前を題材にした大絵巻はどうか、動物がもっと出る話もいいなとどんどんアイデアが出ていました。まずは12月の成功を目指し、次は既に決まっている4月のイベントに取り組むそうですよ。