宇治市を舞台に、吹奏楽に打ち込む高校生の姿を描いた「響け! ユーフォニアム」。同作のアニメファンが、吹奏楽団を結成しました。その名も、「北宇治高校OB吹奏楽団」。物語の中の高校名にちなんでいます。第1回コンサートの幕が、間もなく上がろうとしています。
ユーフォニアムとは、金管楽器の一つ。「響け!
ユーフォニアム」は、京都出身の小説家・武田綾乃さんが同志社大学在学中に発表した小説で、昨年の4月にテレビアニメ化されました。架空の高校「京都府立北宇治高校」に通う吹奏楽部員たちが主人公で、「京阪宇治駅」「縣(あがた)祭り」といった宇治市のスポットや行事が物語の随所に登場することから、宇治を訪れる同作のファンも少なくないのだとか。
取材に訪れたのは、宇治市内で行われたアニメの登場人物の誕生会イベントの会場。ラストを飾るのが「北宇治高校OB吹奏楽団」のステージです。この日は楽団の約半数のメンバーが参加。ユーフォニアムやドラム、サックス、フルートなどによる、迫力ある演奏が披露されていました。最後には観客も立ち上がって、劇中歌を合唱する盛り上がりをみせていました。
「北宇治高校OB吹奏楽団」の結成に大きな影響を与えたのが、取材に訪れた誕生日イベントも主催している京都文教大学の「響け! 元気に応援プロジェクト」です。同大学の総合社会学部・准教授の片山明久さんが、「響け! ユーフォニアム」のアニメ放映のスタートを機に「宇治を訪れるファンに、宇治の良さを知ってもらおう。そして、地域住民に作品の魅力を伝えてファンを温かく受け入れてもらえる土壌づくりをしよう」と呼びかけ、学生たちが集まりました。
同プロジェクトは、「宇治橋通り商店街」を拠点に活動。子ども向けに楽器づくりのワークショップを行ったり、商店街のイベントで作品を宣伝するなど、「響け! ユーフォニアム」の地元での認知度アップに努めてきました。
一方、ファン交流の場となるイベントも実施。そこに楽器を持参する人も多く、何度か顔を合わせるうちに「何かセッションを」と声が上がったのが吹奏楽団の始まりだそう。いつしか「もっと多くの仲間と、演奏がしたい!」と話がまとまっていきました。
12月25日(日)に「響け! ファンコンサート」を実施すると決め、ファンの一人・長野弘嗣さんを代表として、今年の2月から6月にかけて団員を募集。現在、メンバーは高校生から社会人まで約40人です。初級者も全国大会の出場経験者も入り交じっていますが、「『響け! ユーフォニアム』が好き」という気持ちは共通。1カ月に1~2回の練習を行っています。
奈良や和歌山、石川など他府県からの参加者が多いのも特徴。自身も三重県から参加している代表の長野さんは、「昨春からもう何度、宇治を訪れたことか。来るたびに魅力的な街だと感じています。作品中に登場する場所のほか、宇治川のほとりでも楽器を演奏している人がいたり。そんな雰囲気も好きです」と話します。
コンサートの会場は、作品にも登場する「宇治市文化センター」。作品を知らない人も楽しめる内容を予定しているそう。音楽がアニメのファンと地域の人をつないでいくのですね。
問い合わせは、「北宇治高校OB吹奏楽団事務局」(片山さん)=TEL:0774(25)2819=または、「北宇治高校OB吹奏楽団」のメール(kitauji.ob@gmail.com)へ ※メールの場合は件名に「問い合わせ」と入れ、本文中に名前の明記を
「響け! ファンコンサート~舞い上がる高揚感~」
日時:12月25日(日)午後2時 ※開場は午後1時30分~
会場:宇治市文化センター(宇治市折居台1丁目1番地)
料金:無料 ※全席自由
演奏曲目:「海兵隊」「ライディーン」「プロヴァンスの風」「Starting the project」など、全20曲を予定