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腸内環境、整えるには

近ごろ“腸内フローラ”“腸美人”など、腸にかかわる言葉をよく耳にしますね。今回は、腸と健康について紹介。腸環境を整えて、健康ライフを目指しましょう。

約9mの消化管のうち、腸は7・5m以上

1面ではまず腸の基礎知識を紹介します。
口から入った食べ物は消化され、栄養が吸収されたあと、カスだけが体外に排出されます。この、口から胃、肛門まで続く器官の総称が“消化管”。腸もこの消化管の一部で、小腸(十二指腸、空腸、回腸)と大腸(盲腸、結腸、直腸)に分けられます。大人で全長約9メートルあるという消化管のうち、小腸は6~7m、大腸は1・5mほど。消化管の大部分を占めているのですね。

体外からの病原菌を防ぐ役割も

消化管という名前の通り、腸は消化器官として働いています。小腸では、胃で消化された食べ物の栄養と水分を吸収、大腸ではさらに水分やミネラルを吸い取り、残ったカスを排便へと導きます。

京都府立医科大学消化器内科学・准教授の内藤裕二さんによると、腸の中には、腸内細菌が1000種類・100兆個以上住み着いているとのこと。

「そのほとんどが大腸の内側に張り巡らされた厚さ0・1mmの粘液層にあり、腸内細菌叢(そう)という菌の生態系を構成。これが、“腸内フローラ”です。栄養分を分解したり、ビタミンやタンパク質の合成をしたり、体外からの病原菌の侵入を防ぐ働きもしています」

腸で免疫とは、意外な感じがします。
「実は、腸は消化器官としての働きのほかにもう一つ大切な役割を持っているのです。それが、病気やウイルスなどから体を守る免疫機能。体内の免疫細胞のうち約7割は腸にあるんですよ」

中でも大切な役割をするのが、全身の免疫細胞の半分があり“免疫の司令塔”と呼ばれる小腸。免疫細胞のリンパ球が集中している上、免疫機能を発動させるセンサーでもあるパイエル板も密集しています。

腸と脳は相関関係

脳の次に神経細胞が多い腸は独自の神経系があり、脳の指令を受けずに消化液を分泌したり腸の動きを調整しています。
さらに「最近の研究では、腸と脳は相関関係にあることが分かってきました」と内藤さん。

例えば、強いストレスも原因とされる過敏性腸症候群。脳がストレスを感じたときに分泌するホルモンの影響で腸内環境のバランスが乱れ、便通異常が引き起こされるメカニズムが明らかになってきたそうです。

「腸の健康、つまり腸内環境の良しあしが心身の健康に大きく影響しているといっても過言ではありません」。では、どうやって腸の健康をサポートすればよいのでしょうか。

「キーワードは腸内細菌です。体によい働きをする善玉菌、悪さをする悪玉菌、どちらでもないけれど情勢の強い方につくこともある日和見菌の3種類があります。一般的には順に15%、10%、75%程度の割合がよくみられます。腸内環境を良好に保つには、善玉菌が悪玉菌より多いことがポイントになります」と内藤さん。

目で見ることができない腸内環境の様子をセルフチェックできるのが排便時。固さや形状、においなどを確認しておくといいそうですよ。

京都府立医科大学消化器内科学・准教授の内藤裕二さん

京都府立医科大学
消化器内科学・准教授の内藤裕二さん
専門分野は消化器病や生活習慣病など。「腸内環境を改善する工夫は一人一人違うので、自分に合うものを探してみてください。
私は、半年前から毎朝豆乳とバナナとハチミツのスムージーを飲んでいます」

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