教えてくれたのは…
「京都府不動産コンサルティング協会」
会員・渡邊博子さん
「家族がどういった生活を送るのかを想定しておくことが大切。子どもの養育費や教育費など、家計全体を踏まえ、家づくりの資金計画を立てていきましょう」
家を建てるのに必要なお金というと、建築費用や土地代が思い浮かびますが、そのほかにどういった費用がかかってくるのでしょう。
「住宅購入時に必要な“諸費用”は、建築費の約2割を用意しておくのが理想です」とは、「京都府不動産コンサルティング協会」会員の渡邊博子さん。
「諸費用は現金で支払うことになっているので、準備しておいてください。売買契約書や住宅ローン契約書にかかる印紙税は1万~2万円。登録免許税は登記にかかる費用で、手続きの際には司法書士報酬が要ります。そのほか、工事の無事を祈るために行う地鎮祭などの費用も必要ですね」
マイホーム完成後も、不動産取得税、固定資産税、火災保険料といった家にかかるお金が発生します。
「おおよそ、固定資産税は10万~20万円(※1)、火災保険料は5万~10万円(※2)を年間で想定しておきましょう。また、住宅ローンを借り入れるなら、継続して返済していかなくてはなりません。共働きをするのか、子どもは何人育てるのか、親世代と同居をするのかなど、今後のライフプランをしっかりと考え、返せる額から借入額を算出するようにしてください」
建てた家に長く住み続けるには「定期的なメンテナンスが大事」と渡邊さんは話します。そのための経費の心積もりをしておきましょう。
「5年~10年目で交換の可能性が出てくるのがお風呂の給湯器。お風呂をはじめ、キッチン、トイレといった水回りも比較的早めに修理のタイミングが訪れます。設備の故障、カビの発生などが理由として挙がってきます」
日光や雨、風にさらされる屋根も傷みやすい部分ですね。
「塗り替えなどのメンテナンスは約10年に一度のペースで計画を」
屋根の補修は足場を組まなくてはならないので、費用がかさむとか。
「高所のリフォームを同時期に行えば、何度も足場を組まなくて済みます。屋根のほか、外壁、窓などがありますね。こうした家を建てた後にかかるメンテナンスの費用は30年で500万~600万円を目安と考えておくといいですよ」
(※1)土地と建物の評価額によって変わります
(※2)建物の規模や建築方法によって変わります
「予算に限りはあるけれど、ここにはこだわってお金をかけたい!」。実際に家づくりを経験した読者に、そんなお金のかけどころを聞きました。渡邊さんがそのポイントについて解説してくれます。
「樹脂タイプのサッシは、寒さの厳しい環境下でも省エネで快適な住環境をつくるために開発されました。腐食しにくい、加工しやすい、メンテナンスに手間がかからないといった特徴があり、今後注目が高まっていくと思います。
熱伝導率はアルミに比べて約1000分の1。断熱性に優れ、夏は涼しく冬は暖かい家が実現できます。そのほか防露性、遮音性、気密性が高いのもポイント。アルミよりもコストがかかっても、十分にメリットがあります」
「長年生活をしていると、どうしても物は増えてしまいますよね。天井裏収納があれば、居住スペースが広く確保できるので、100万円余分にお金をかけても値打ちはあるかもしれません。
ただし、天井裏収納の設置については建築基準法上の制約があります。例えば、『床面積は下の階の8分の1以内』『高さは1・4m以下』『上り下りのためのはしごは固定式ではなく折り畳み式、もしくは取り外し可能なものを設置する』などです。こういった条件をクリアしないと固定資産税がかかってしまうので注意してください」
「窓を多くすると採光により電気代の節約につながります。さらに通風性が良くなり、ダニやカビを防ぐこともできます。通風性を高めるには、窓を2面以上つくり、一直線に対面させるのが重要。その土地の風向きに考慮した配置にするのもポイントです。
窓を多くしたときは、カーテンやブラインドの費用も計算に入れておいてください。西に窓を設置すると西日が当たって室温が上がり、夏は光熱費が高くなることも。デメリットも考慮しつつ、開放的で心地いい住まいを手に入れたいですね」