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大山崎町の"残したい"風景を、住民が映画に

天王山に離宮八幡宮、西国街道、JR「山崎」駅。大山崎町の風景がスクリーンに映し出されます。
大山崎町と大阪府島本町の住民によって制作された映画「家路 On The Way Home」が1年半をかけて、昨秋完成。今月末に上映会が実施されます。地元での撮影は、どのように進んでいったのでしょう?

天王山の坂道をゆっくりと歩いていたのは、主役の中村佳太さん。その姿を、監督の折小野(おりこの)和広さんがビデオカメラで撮影します。取材に訪れたのは2014年11月のこと。この日は15人ほどいる「oYamazakiまちのこしProject」の中心メンバーのうち、5人が参加していました。

折小野さんが「カット」と声を掛けると、中村さんと制作スタッフがカメラの前に集合。「渋い感じでいいんじゃない」「音量は15でお願いします」。表情は真剣そのもので、プロの現場を見ているよう!

「その辺りからゆっくり歩いてきて」。折小野さん(左)の指示で撮影が進んでいきます

「普段は大山崎町でコーヒー豆の販売をしています。演技なんてやったことなかったんですよ」と話す中村さんに、「もう立派な俳優さんです」と折小野さん。足元を映すシーンでは「がに股にならないように」と注意が。それを意識しすぎてしまい、今度は反対に「今、内股だったよ」と指摘される中村さん。「おかしいな~」と笑い合ったりと、和やかな雰囲気で撮影が進みます。

通りがかった女性から「上映を楽しみにしてます」と声を掛けられる一幕も。ロケを重ねるうち、住民にも映画制作のことが知られていったようですね。

映画では意識不明の息子を助けるため、侵入禁止の町へ向かう主人公の不思議な体験が描かれます。ロケ地のほぼすべてが、大山崎町と島本町とのこと。

「〝山崎地域”と呼ばれる大山崎町と島本町は、交通の便もよく都会的な部分がある一方で、天王山のような自然もたくさんあります。地域のいいところを残したいと思い、映画で魅力を発信することにしたんです」。そう話すのは、中村さんの妻で、同プロジェクト代表のまゆみさん。

始まりは2014年3月。中村さん夫婦や、学生時代は映画サークルに所属していたという折小野さんが地域の会合で映画づくりのアイデアを出し合い、制作がスタートしました。

聞けば、集まったメンバーの顔ぶれも多彩。生まれも育ちも大山崎町という三宅秀輝さんは、同町のボランティアガイドを務めます。ロケ地選びにはその知識が役立ったとか。日高和貴さんは大学で所属していた映画サークルでの経験を生かし、撮影補佐として活躍。住民にもエキストラとして参加してもらうなど、同プロジェクトは広がりを見せていきます。

地図を見ながら山道を歩くシーン。肝心の地図を忘れるというハプニングもありましたが、三宅さんが急いで買いに走り、無事ロケが再開しました

後列左から、折小野さん、三宅さん、中村さん、まゆみさん、日高さん。主人公の妻子役の、折小野さんの妻・美貴子さんと息子・陸くん(前列)も撮影を見に来ました

しかし、すべてが順調とはいかないもの。資金繰りの難航、続く悪天候…。「メンバーの予定もなかなか合わなくて」(まゆみさん)。2014年夏から半年間を予定していた撮影は、1年間に延びることに。そして編集を終えた昨年秋、ついに完成にこぎつけました。

1月30日(土)には、大山崎町PTA主催のイベントで、同町内では2回目となる上映会を開催。劇中歌を担当した中村佳穂さんのライブも行われます。「見慣れた風景の魅力を再発見してもらえるとうれしいです。住民以外の人にも、山崎地域がすてきな場所だと感じてもらえたら。2月28日(日)には島本町でも上映予定。今後も上映を続けていきたいです」(まゆみさん)

問い合わせは中村まゆみさん=TEL:090(3711)9767=まで。

「上映会&中村佳穂さんライブ」

日時1月30日(土)午前9時40分(開場は9時20分)~正午ごろ

会場大山崎町立中央公民館 ホール(大山崎町字円明寺小字夏目26、
     阪急バス「大山崎町役場前」停からすぐ)
     ※無料。予約不要

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