木々が葉を落とすこの季節に、寺社ではこれから見られる花や、かわいらしい実をつける木があります。気持ちも温かくなる、季節の風景を味わいに出かけませんか。
「史蹟詩仙堂」と書かれた碑のある、小さな山門「小有洞(しょうゆうどう)」。その上を見れば、大きなサザンカの木が花を咲かせています。枝を広げた大きな木は、まるで門を守っているよう。落ち着いた雰囲気の中、白い花が華やぎを加えています。門を抜けた後に続く数十段の石段に備え、しばしサザンカを堪能しては。
哲学の道の東側。山沿いに立つ法然院では、愛らしい丸い実をつけるセンリョウが植えられています。
間近で見られるのは、白い盛り砂の先にある橋のたもと。葉の上になった小さな実を、じっくり観賞できます。本堂へ向かう途中、参道の周りにも点在。鮮やかな緑のコケの景色に、赤色の実がよく映えます。
サクラの名所として有名な平野神社ですが、冬にも楽しめる花がありますよ。広々とした境内を見渡せば、本殿近くやサクラの木の下など、あちらこちらにスイセンが。まっすぐに伸びたかれんな花を写真に収めようと、カメラを向ける参拝者も多いとか。近づけば上品な香りも漂います。別名は〝雪中花(せっちゅうか)〟。春を待つ冬の間、境内に彩りを添えてくれます。
春には黄色い花を咲かせるサンシュユ。秋から冬にかけては、つやつやと輝く実がなっています。真如堂の石畳の参道を抜け、本堂の裏手へ。薬師堂の前に、15本ほどのサンシュユが並びます。鈴なりになった赤い実は一見グミの実のようですが、渋みがあるので食用には向かないそう。雪が降る日は、赤と白のコントラストを楽しめるチャンスです。