秋が深まってくると、楽しみなのが紅葉。赤やオレンジ、黄色に葉が染まる景色が寺院の庭園で見られますね。中には、柱や窓枠などが額縁になって絵のように見える場所も。今年はそんな芸術的な紅葉を見に出かけませんか?
江戸時代、石川丈山や狩野探幽といった文化人たちが協力して、現在の場所に再興された蓮華寺。池を覆うように枝を伸ばしたモミジが彩る庭園は、その当時造られたものだそう。間近で見ても風情がありますが、書院の少し奥に座るのもおすすめ。かもいと床、柱が額縁となって、鮮やかな秋の庭を引き立てます。
紅葉した木々が床に映る実相院門跡の「床もみじ」。客殿にある滝の間の手前から庭を眺めると、開いた障子の間に見えるモミジの赤が、長い間磨かれて黒光りした床にも。客殿は江戸時代にこの場所に移築された建物。まさに、季節と歴史が生み出した芸術です。
宇治川のほとりから、約200メートル続く興聖寺の参道「琴坂」。両側に植えられたカエデが色づいて赤いトンネルになることで知られていますが、見どころはもうひとつ。参道をのぼり切ったところにある中国風の山門をくぐったら、琴坂を振り返って。白い門に切り取られて、紅葉のトンネルが一枚の絵のようです。
「人間の生涯」を象徴した四角い「迷いの窓」と、「禅と円通」の心を表した丸い「悟りの窓」。禅の教えを表現した2つの窓がある源光庵。紅葉の時季になると、これらに切り取られた枯れ山水庭園の木々が秋色に。隣り合う窓から同じ庭園を見ているのに、形によって印象が異なるような気が。正面に座って、じっくりと眺めてみて。
清凉寺の本堂と大方丈を結ぶ渡り廊下から見えるのは、池に面して建てられた弁天堂、そして色鮮やかなモミジが彩る庭園。廊下の柱と柱に挟まれた景色が、何枚もの写真が連なったパノラマのよう。歩きながら見るアングルを変えると、場所によって違った趣が楽しめます。