古くから宿場町として栄えた、西京区樫原(かたぎはら)地域。町家が続くこの一帯に灯籠を並べる催しが、年2回開催されています。6回目となる8月29日(土)の「夏の灯篭会」では、新たな企画を行うそう。新旧の文化を融合させた、その企画とは?
イベントを主催するのは、住民が結成した「樫原町家灯篭会」。取材日には、9人いるメンバーのうち、5人が集まってくれました。
「灯籠を並べるだけではなく、講談や雅楽も披露。これまでも盛況でしたが、高齢者が多い印象でした。今回は子どもも楽しめるような企画をしようと考えたんです」とは、同会の代表・鈴木千鶴さん。
そこで思いついたというのが、建物などに映像を投映するプロジェクションマッピング。「各地で注目を集めているので、樫原でもやってみようと。映像は本陣の外壁に映すことにしました」
“本陣”とは、大名が参勤交代の途中に泊まった宿。樫原本陣は京都市内で唯一残っている本陣の遺構です。
「内部は一般公開していませんが、今回は建物の外をイベントで活用できたら」と話す、本陣の管理者・玉村隆史さんが「マッピングに使います」と見せてくれたのは、昔の樫原の風景の写真や古地図、スケッチなど。小石伊久男さんも「昔はこんな感じで田んぼが広がってたな」と懐かしみます。
「本陣の裏に祭られている弁天さんへも案内します。池のほとりに祠(ほこら)があるんです」(鈴木さん)
ちょっと行ってみましょうか、と誘われ祠へ。80mほど草道を進んだ場所に弁天さんが祭られていました。
4軒の家が当番で代々お守りしているそうで、辺りの草は刈られ、きれいに手入れされています。この道にも竹筒の灯籠を並べるようですよ。
同会が発足したのは2年前。まちづくりに関心のある人などが集まる「ふらっと・西京」がきっかけでした。
「江戸時代の面影を残す樫原の町並みを伝えていきたい。そのために、地元の皆さんが楽しめるイベントを開催していこうと考えました」と鈴木さん。地域の人に呼びかけ、徐々にメンバーが集まりました。
「近隣住民を含め、多くの人を巻き込みたい」とは、本陣の近くでカフェを経営する中村行夫さん。店でアルバイトをしていたロッケンバッハ浄さんは、中村さんからメンバーに誘われたといいます。「唯一の学生メンバーです。地域の人とこうして活動するのは楽しい」(ロッケンバッハさん)
これまでイベントに訪れた人はさまざま。毎回来場する常連や、通りすがりに来たという声もあったそうです。当日は近隣の店が集まるマルシェも開催予定なので、立ち寄ってみては。
「夏の灯篭会」の問い合わせは鈴木さん=TEL:090(9210)3570=へ。