ひととき、暑さを忘れさせてくれるような美しい夏の花。地元の寺院を訪ね、涼を感じてみませんか。
一日で花の色が変わるスイフヨウ。橋寺では、しだれ桜の奥でひっそりと花を広げた、その優雅な姿を見ることができます。朝に真っ白な花を咲かせ、時間がたつにつれてピンクや紅色に染まっていく様子が、酒に酔って赤くなることにたとえられて、この名がついたのだとか。
惠心院(えしんいん)でも、華やかな八重咲きのスイフヨウが見ごろを迎えます。開花後の花色の変化を楽しむため、しのぎやすくなった午前中に白い花を、夕涼みを兼ねて赤い花を、と一日に何度も足を運ぶ人もいるそう。すぐ横の花見台から眺めるのがおすすめ。
伏見城の〝お花畑山荘〟と呼ばれた御殿跡に立つ清凉院。境内入り口に枝を垂らすサルスベリは、樹高約7mの大木で、自然の樹形を生かした手入れで少しずつ伸張し、幹を太くしているのだとか。木全体を覆うように咲く、薄紅色の花が訪れる人を歓迎しているかのよう。
本堂前の「蓮園」に大賀ハスや古代ハスといった約100種・約250鉢のハスが並べられる三室戸寺。同時にさまざまな種類のハスが開花しているので、見応え十分。白い花のふちを赤く染めるように色づく「大洒錦(タイセイキン)」という珍しい品種もあるのだとか。葉に玉のような水滴をためる姿は清涼感に満ちています。