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月曜日は、銭湯で落語会

月曜の午後8時過ぎ、中京区にある銭湯に響く落語と、人々の笑い。落語家・月亭太遊(たいゆう)さんが主宰する「ネオラクゴ・フロンティア」が開催されているんです。1日の疲れやストレスを、この日ばかりは〝笑い〟で洗い流してみませんか。

銭湯の脱衣場で開催される「ネオラクゴ・フロンティア」。毎回、子どもから高齢者、社会人や学生など、幅広い年代が訪れます

男湯ののれんをくぐると、脱衣場には座布団が敷き詰められ、正面にはちゃぶ台で作った即席の舞台が─。

ここ「錦湯」では、昨年10月から定休日の月曜に「ネオラクゴ・フロンティア」を開催。「仕事帰りの人も気軽に来られるよう、午後8時に開演しています」

新作落語のネタおろしをする月亭太遊さん。「お客さまとの出会いや反応が、ネタ作りや、芸を磨くモチベーションになっています」

そう話す月亭太遊さんは、“笑い”で地域活性に取り組むよしもとクリエイティブ・エージェンシーのプロジェクト「京都府住みます芸人」の一員。昨年4月から錦湯の2階に間借りしています。

「地域の交流の場でもある銭湯が、近年は減少傾向。人が集まるきっかけをつくって、銭湯を盛り上げるお手伝いができれば」と、落語会を思いついたそうです。

太遊さんは毎回、新作落語の“ネタおろし”をすることを決め、落語会を「ネオラクゴ・フロンティア」とネーミング。料金は、見た人が自由に決める投げ銭スタイルに。

「短期間でネタを作り続けるのは、けっこう大変なんですが(笑)、お客さまに『また次回も来たい』と思ってほしい。料金が気になって、落語に触れる機会を逃しているなら、そのハードルを取り払いたいという気持ちも。銭湯が庶民の憩いの場であるように、落語もかしこまらず、気楽に楽しめるものだということを伝えたいですね」

集って、笑って、人がつながる場に

取材当日、33回目となるネオラクゴ・フロンティアには、近隣や区外から12人が来場。太遊さんと、ゲストの桂三幸(さんこう)さんが新作落語を発表しました。

三幸さんは、遺言状に一喜一憂する遺族の様子を、テンポよい語り口で描写。片や、太遊さんは今ドキの若者たちの恋愛模様を、ゆったりした独特の間で演じます。

個性とアイデアあふれるネタに、クスクス、ニヤリ、思わず「プッ!」と吹き出したり。2人の熱演で、会場は笑い声や拍手でいっぱいに。

堺町錦小路を下がったところにある「錦湯」

「舞台との距離が近いので、迫力がある」「銭湯の常連なんですが、この空間と落語との相性がよくてびっくり」と、みなさん。ほとんどがリピーターで「1回来るとクセになる」と声をそろえます。

上演後は、出演者と観客が打ち上げをするのも恒例で、「世代を超えて会話したり、お客さん同士が友達になったりする光景を見ると、やっててよかったと思います」と、太遊さん。

「今後は、音楽や演劇など、京都ならではの文化も発信していきたい。人のつながりが生まれ、広がってこそ、この落語会をやる意味があると思っています」

ネオラクゴ・フロンティアは毎週月曜午後8時(休止になる場合あり)。問い合わせは錦湯=TEL:075(221)6479=へ。

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