身近にある木が、実は天然記念物だったら、ちょっと誇らしい気持ちになりそうですね。実は、京都府内だけで約70の植物が指定されているんです。今回は近場で見られる常緑樹に注目。これをきっかけに、〝天然記念物ウオッチャー〟になるのもいいかも!
国の重要文化財に指定されている雙栗神社の本殿北側にひときわ目を引く大きなクスノキがあります。周辺は、かつてこの一帯が深い鎮守の森であったことを感じさせるように静か。木の傍らには稲荷(いなり)社があり、幹にはしめ縄が張られるなど、神木として保護されてきたことがうかがえます。
樹高は約30m、その周囲の長さは約5.35m、樹齢400~500年です。
醍醐寺の塔頭(たっちゅう)である金剛王院の山門は、桃山丘陵と小栗栖の里が望める景色が評判。この門をふわりと囲むように立っているのがヤマモモの木です。四方に枝を伸ばした、直径10mほどのこんもりしたシルエットが特徴で、毎年6月には赤い実を付けます。古くは江戸時代の寺の日記にも、この木についての記述があるそうですよ。
樹齢1000年以上のクロガネモチは、高さ11m以上で幹の太さは2m余り。5月中旬から小さな花が咲き、夏には緑の実がなります。秋になるとその実が大きく育ち、黄色からだいだい色に変化し、冬には真っ赤に。
「実の重みで大きな枝が垂れている様子は、親鳥がヒナを羽の下に抱くような安らぎを感じさせてくれる風景だといわれます」と金札宮の宮司・棚橋さん。
ソテツは南方系の植物。寒さに弱い性質があり、通常だと冬場は覆いが必要なのに、御香宮神社のソテツはそのまま越冬し、花や実をつけることでも有名だそう。そんな生命力の強さにあやかって、こちらのソテツの実は〝健康御守〟として授与されています。
本殿前の参道をはさむように雌株(めかぶ)と雄株(おかぶ)が並んでいます。