イン・アウトで健康的なダイエットを

読者のある日のイン・アウトを浅原さんと西田さんがチェック

ケース1:YSさん
ケース2:JDさん

イン:まずは、自分の食生活をチェック!食べ過ぎを招く習慣・行動を見直して

「痩せようと思ったら、栄養バランスを考えながら、1日の摂取エネルギーが基礎代謝量を上回らないようにするのがポイント」と、浅原さん。 「『そんなに食べてない』という人も、実際に食事内容を記録すると食べ過ぎに気付くケースが多いんです。女性に特に多いのが、3度の食事以外に間食や夜食、食後などに甘いものを食べること。子どもの食べ残しなどを『もったいない』、時間が空くと『口寂しい』と、食欲がないのに食べてしまう“代理摂食”も目立ちます」

食べる回数が多くなれば、それだけ摂取エネルギーも増加。中でもケーキや菓子パンは1食分に匹敵するほどの高カロリーなので、注意が必要とのことです。

また、同センターの栄養管理室長・西田博樹さんからは“食べ方”について指摘がありました。

「肥満傾向の人は、丼もの、カレー、麺類を好み、日常的にもよく食べているという特徴が見られます。これらのメニューの共通点は、早食いになりやすい、よくかまなくても食べられること。そうすると満腹サインが脳に伝わりにくくなるので、つい食べ過ぎてしまいがちに」

さらに浅原さんも、「まずは、記録するなどして自分の食生活を客観的に把握することが大切。問題点が認識できれば、改善すべきポイントや自分に合った摂取エネルギーのコントロール法も見えてきます。そして重要なのは結果をあせらず、無理なく長期で取り組むことです。1カ月1kgでも、1年かければ12kgの減量になりますよ」

摂取エネルギーを減らすポイント
■買い物時はカロリー表示もチェック
何を、どれだけ摂取しているか、主観ではなく数値として客観的に把える習慣を
■よくかんで、ゆっくり食べる
かむ刺激によって、満腹中枢に刺激を与えるホルモンが分泌。
満腹サインが出るのは食事の約20分後からなので、早食いは厳禁
■調理は歯ごたえを生かして
食材を「大きく」「繊維に沿って」切ることで、かむ回数が増え、ゆっくり食べることに
■「片付け食い」は工夫で乗り切る
食べ残しや余りものは、冷蔵・冷凍で一時保存。違う料理にリメイクして次の食事に回しても
■自分の分だけ皿に盛りつける
大皿から取り分けて食べると、食べた量が把握しづらくなります。
最初から、自分が適正と思う量だけお皿に盛りつけて

アウト:活動量を増やす“ちょこまか運動” 小さな積み重ねで、大きな成果も

「今の日本は食生活が豊かで、飽食の時代ともいわれています。しかし、摂取エネルギーは約1900キロカロリーで、戦後間もない1946年とほぼ同じなんですよ」と、森谷さん。

「インが増えていないにも関わらず、肥満に悩む人が増加。約70年前との大きな違いの一つが、日常の活動量なんです」

住宅の欧米化、移動手段の発達などにより、立ち上がる、歩く、階段を昇り降りするといった動作が減少。消費エネルギーも減ったことで、肥満の増加を招くことになっているのだとか。

「日常活動による消費エネルギーは『ニート(NEAT:非運動性熱産生)』と言います。ひとつひとつのニートは少ないのですが、積み重ねればスポーツやエクササイズに相当する効果が期待できます」

例えば、座っているときと比べて、立つと1.2倍、歩くと3倍、階段を昇り降りすると8倍を消費。

「ニートを増やすポイントは、家の中でこまめに動く、積極的に階段を使う、車や電車での移動を控えるなど、あえて不便を選び、無駄に動くこと。実際に女子学生で計測したところ、常にちょこまか動くタイプと、そうでない学生との差は1日500キロカロリー。体重に換算すると1年で25kgの違いが生じるんです」

“ちょこまか運動”なら、体力に自身がない人や、運動が苦手な人でも、取り組めそうですね。

日常活動で消費するエネルギー

※体重50kgの人が、当該活動を1時間行った場合(厚生労働省の資料をもとに編集部で換算)

活動量の〝見える化〟が、体重管理のヒントに

オムロン ヘルスケア
商品開発統轄部
北村優美さん
手にしているのは「活動量計 HJA-311 カロリスキャン」。スマホアプリでデータ管理もできます

摂取エネルギーに比べ、消費エネルギーは年齢や体格、活動量などによって個人差があり、把握しづらいもの。

「歩数から消費エネルギーを計測する歩数計もありますが、洗濯や掃除、デスクワークといった日常活動は反映されにくいんです。それらも含めた消費量が数値化できれば、自分に応じた活動量と摂取量の目安になり、体重もコントロールしやすくなります」と、オムロン ヘルスケア 商品開発統轄部の北村優美(ゆみ)さん。北村さんは、ポケットやカバンに入れても活動量、消費エネルギーなどが計測できる活動量計の開発担当者。

「家事を頑張ったり、こまめに動いたり。日頃は見えにくい〝プチ努力〟を〝見える化〟することで、体を動かす楽しみが増し、ダイエットを続けるモチベーションアップにもつながります」

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