太秦にある貸しスペース「古心庵(ここあん)」で開かれているピアノの演奏会「朝クラシック」、通称“朝クラ”。始まるのはなんと午前6時!こんな早い時間に行われる演奏会とは?
朝クラに行くため記者が起きたのは、午前5時前。辺りは真っ暗…。古心庵に到着したときもまだ太陽は見えません。
「おはようございます」と記者を出迎えてくれたのは、黒いシックな衣装に身を包んだ、朝クラを主催するピアニスト・仁藤(にとう)麻衣さん。会場には8人の観客が集まっていました。時計の針が6時を指し、演奏がスタート。まずはバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」など、3曲が披露され、皆さん目を閉じて静かな曲に聴き入ります。
月に1~2回、不定期で開かれている朝クラは、500円を払えば誰でも来場可能。古心庵のオーナーがいれてくれるコーヒーを片手に、40分間の演奏会を楽しめます。
「次は雰囲気を変えてにぎやかな曲をお届けします」と言って奏でられたのは、モーツァルト作曲の「トルコ行進曲」。軽快なリズムで、1日の元気も湧いてくるようです。「この曲は実際にトルコと関係あるの?」「作られた当時、ヨーロッパでトルコ趣味が流行していたみたいですよ」といったやり取りも交わされます。
そして、この日はクリスマス間近ということで「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」など、クリスマスソングのメドレーも披露。おなじみの曲も、目の前で弾いてもらうと一味違って聴こえます。
現在、4人の子育ての真っ最中だという仁藤さん。忙しい中、自分の時間をつくりたいと、以前から早起きをしていたそう。
「『朝の澄んだ空気は気持ちが良く、演奏会を開きたいくらいです』と早起き仲間の友人にメールをしたんです。すると『いいですね、楽しみにしています』と返信が。この声が、朝クラの開催を後押ししてくれました。時間は限られていて、タイムリミットは7時! 終わったら急いで帰り、パパと子どもたちの朝ごはんを作ります」
昨年9月に第1回を開催。今回で9回目を迎えますが、いつも5~10人が集まっているというから驚きです。徒歩5分の近所の人もいれば「南区から車で来ました」という人まで。「知り合いに教えてもらって、来るのは2回目。普段はまだ寝ている時間ですね。これからも聴きに来れたらと思います」と話す人もいましたよ。
「クラシックの作曲家は大変な人生を歩んだ人が多い気が。曲の背景を知って、何か生き方の指針のようなものを見つけてもらえたらと、プログラムも作っています」
毎回配られるプログラムには仁藤さんの手書きの文字がびっしり。曲についての解説のほか、朝クラへの思いもつづられています。
「こんな朝早くに、私のピアノを聴きに来てくれるなんて、感謝の気持ちでいっぱい。まだ始めたばかりですが、ライフワークにしていきたいと思っています」
次の開催日は2月11日(祝・水)。開催予定については古心庵のホームページ「催物案内」=http://uzumasa2.wix.com/kokkoaninfo=でチェックを。