手描きのタペストリー、道を照らすあんどん、海外の器…。〝芸術〟といっても、さまざまな形がありますよね。見れば気分も華やぐ、そんな作品に出合えるかも?
2005年から始まり、今年で10回目を迎える「嵐山花灯路」。阪急「嵐山」駅~渡月橋周辺~二尊院のエリアを、約2500基の「露地行灯(あんどん)」などの「灯(あか)り」といけばな作品の「花」が彩ります。
散策路を照らすデザイン性豊かな「露地行灯」の中には、過去の「創作行灯デザインコンペ」で選ばれた作品も。どんな力作が並ぶのでしょう。
野宮神社から大河内山荘庭園までの「竹林の小径のライトアップ」もあり。頭上のササが降り注ぐかのような、幻想的な情景に出合えそう。渡月橋も照らされ、桂川に映る光の揺らめきもロマンチックな雰囲気を演出します。
会場に、色とりどりに飾られるのは、更紗作家の故青木寿恵(すえ)さんが描いたタペストリー作品です。インドが発祥の地とされる染め文様の更紗。青木さんの作品は、草木染による手描き手法にこだわり、「寿恵更紗」と呼ばれています。
中でも注目したいのが、青木さんが80歳を超えてから作成した「天地創世」。最後の本格的な作品で、幅4mを超えるスケールに圧倒されそう。アンコールワットの彫刻などがモチーフになっています。
3本のタペストリーで構成される「3連シリーズ」は文様がちりばめられ、まるで万華鏡をのぞいているかのよう! キラキラした光沢は、ネクタイ生地に描いたからなのだとか。
イギリスの女性陶芸家ルーシー・リーの作品をはじめとする企画展。薄作りが特徴でカラフルなものが多いリーの作品は、都会的な雰囲気が漂います。
交流があったイギリス陶芸界の第一人者バーナード・リーチの作品も展示。ぽってりとした厚めの器で、リーとは違った作風です。リーチを介して知り合った、日本の陶芸家の作品も紹介されます。日本の作品から、イギリスの影響も感じられますよ。
また、大山崎山荘を建築した実業家・加賀正太郎の版画集「蘭花譜」も展示。ロンドン郊外の植物園で洋ランを見たのがきっかけで、山荘内の栽培を始めたそう。〝ランのまち”大山崎のルーツを知ることができますよ。