昭和の時代には、多くの家庭にあったレコード。もしかしたら、あなたの家にも残っているかもしれませんね。こうした個人蔵のレコードを集めて保存する「レコード楽譜図書館」が、今年10月、左京区岡崎に誕生しましたよ。
訪れたのは、オープン間近の10月上旬。二条通東大路東入ルにある「京都市岡崎いきいき市民活動センター」の分室に行くと、入口近くの一角に、レコードがビッシリと並んだ棚がありました。ジャズ、クラシック、歌謡曲、懐かしのアニメの主題歌など、ジャンルはさまざま。中にはプロレスのテーマソングや、三高(第三高等学校。現在の京都大学)の寮歌のレコードも!
「どれも市民の皆さんが寄贈してくださったもの。棚に収めているものだけで2000枚を超えています。倉庫にも、未分類のものがあるので、全部で5000枚ほどでしょうか」と同センターの曽和泉さん。
レコードは、同センターにあるプレーヤーで聴くことができます。せっかくなので、1枚かけてもらうと、CDのクリアな音に比べてふくらみや温もりがあるように感じました。音に存在感があるせいか、何かをしながらのBGMというよりは「よし、聴くぞ」といった気分になるのが不思議です。
現在稼働しているプレーヤーは1台だけなので、当面は定期的にイベントを開催し、テーマに沿った音楽を来館者みんなで鑑賞する予定だそう。
「部屋が空いていれば、お好きなレコードが聴けますよ。前日までにお電話ください。今はレコードの貸し出しはしていませんが、将来的にはやりたいです」と曽和さん。
さまざまな名曲を、
レコードで鑑賞します
そもそも、なぜこのような〝図書館〟が生まれたのでしょう?
「このセンターは、『NPO法人 音の風』が運営しています。私たちは地域でさまざまな音楽活動を行っているのですが、昨年、活動用にと不要な楽譜やレコードの寄贈を呼びかけました。すると、思いのほかたくさんのレコードが集まって。そこで、『資料館として公開しては』という話になったんです」
寄贈されたレコードの多くにはエピソードがあると曽和さんは言います。「亡くなったご家族が集めていたクラシックの名盤や、青春時代に夢中になって集めたアイドルのものなど、レコードを持ち込まれた方は、みんな思い出話をされます。こうしたエピソードも、機会があれば紹介したいですね」
同センターでは、引き続きレコードや楽譜の寄贈も受け付けています。また、整理やレコードの手入れに一緒に取り組んでくれる人も募集中。詳しくは京都市岡崎いきいき市民活動センター=TEL:075(761)4484=へ。
「レコード楽譜図書館」でのイベントに協力する、東大路通二条上ルにある「太陽レコード」店主の分部(わけべ)喜八郎さんにも話を聞きました。
「レコードの魅力は〝緊張感〟や〝特別感〟ではないでしょうか。当時の技術では音の加工や修正が難しかったため、録音の際には細心の注意が払われていました。その緊張感が美しい音を生んでいる。また、レコードは針を落とす手間があるせいか、かけるときにも心構えが必要です。そうしたことも魅力だと思います」