9月に募集をしていた「リビング京都」の読者モニター。応募のファクスに目を通していたとき、ふと手が止まりました。そこには、ひげをこよなく愛する仲間たちの集い「愛髭(あいし)会」の活動について書かれていたのです。興味をひかれ、さっそく応募者の巽敏郎さんに連絡。その数日後、月に一度の定例会の日に、みなさんと対面を果たしました。
「ひげを生やした人たちが集まっているから、すぐ分かりますよ」。そう言われて向かった待ち合わせ場所。本当、遠くからでも気が付きました。
この日は12人が京都市内に集合。それにしても“ひげの会”とはユニークですが、もとをたどれば巽さんの長年のひげへの憧れがあったようで…。
「若いころにひげを生やしていて褒められたことがあったんです。その後、仕事の関係でそっていたんですが、いつの日か、ひげの魅力について語り合える仲間が欲しいと思っていました」
そんなころに出会ったのが、同会で会長を務める今枝徳蔵さん。写真の通り、立派なひげの持ち主です。「今枝さんに“ひげの会”を設立したいと相談したところ、堅苦しくない会であればと快諾してもらえました」
こうして2013年5月、「愛髭(あいし)会」を設立。自身の退職とも重なり、晴れて巽さんも“ひげ紳士”へと変身しました。
定年退職後の人生を楽しもうという思いもこめて、巽さんが次に始めたのが仲間探しでした。自宅近くの神社に張り紙をしたり、ひげの男性を勧誘したりと、行動的!
「私は、その神社の手作り市に行ったときに巽さんにスカウトされました」とは岩間貞治さん。
別のパターンで入会したのは、本田元昭さん。「近くの店に置いてあった会の案内を見て、巽さんに連絡したんです。そしたら、すぐに駆けつけてくれて」
驚いたのは、そのとき本田さんは、ひげが生えていないどころか、ひげに興味もなかったということ。「何かしてみたい、何か変化が欲しいと思っていたところだったので。妻にはひげを生やすことは反対されましたが(笑)」。そのひげも、今ではすっかり様になっています。
一方で、妻から入会をすすめられた人も。84歳、会の最高齢者である早川隆良さんです。
「日々忙しく過ごしていますので、息抜きになればと思って」。そう話す早川さんの顔を見ると…。アレ? ひげがないような。「実は、昨日、散髪に行ったら居眠りしている間にそられてしまって(笑)」
そんな早川さんは会の魅力をこのように話してくれました。
「若い人と話をすることで、生きるパワーがもらえるよう。この会に参加していると、“青春”という感じです」。同会副会長の宮川俊彦さんも、「定年後は新しい出会いはあまりありませんから、この会に参加することは妻も大賛成! 会合の後に帰宅すると、『イキイキしてるね』って言われます。自分でもそう思うんですよ」。
実は同会への入会条件には、“ひげ”の有無は関係ないのだそう。
「ひげは、きっかけにすぎません。これからも、人と人、心と心のつながりを大切にしていきたい」と会長の今枝さん。夫や父親がイキイキと過ごしているとうれしいものです。新しい生きがいや仲間探しをしている家族に教えてあげてみては。
入会費や会費は無料(通信費として年間5000円要)。
問い合わせは事務局長の巽さん=TEL:090(17151)3157=まで。