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高齢者向けの公共施設を市民・学生がリニューアル! 「きょういく基地」は、みんなが“今日行く”場所なんです

「きょういく基地」は、みんなが“今日行く”場所なんです

今年の7月、伏見の「高齢者ふれあいサロン」が、さまざまな世代が利用できる交流拠点としてリニューアルオープンしました。新しく愛称を「きょういく基地」と定めるなど、同施設の運営・企画には市民や学生が積極的に意見を出し、関わっています。

高齢者がイキイキと過ごせる居場所を

運営スタッフの皆さん。中央が三木俊和さん

まるで旅館の宴会場のような広い和室、窓から明るい光が差し込み、マッサージチェアも備えられたロビー。「高齢者ふれあいサロン」は、地域の高齢者が憩える公共施設として約4年前から開放されてきました。

しかし、充実した施設を持ちながらも利用者は減少傾向だったと、施設管理を担当する「伏見いきいき市民活動センター」の三木俊和さんは振り返ります。

のんびりできるだけではなく、もっと高齢者がイキイキと過ごせる場所が求められているのではないか―。そんな思いを持った、市民グループ「伏見をさかなにざっくばらん 街コミュニケーションチーム」と「龍谷大学政策学部 Ryu- SEI GAP Local Activitiesチーム」の2団体とともに、「高齢者ふれあいサロンを考える会」を発足させたのが昨夏のこと。

以来、約1年にわたってミーティングなどを重ね、リニューアルオープンが実現しました。

さまざまな会議も多世代交流の一つ

手作りのおむすびを食べながらみんなで交流。「好きな具は何?」。そんなことも会話の糸口に

ユニークな「きょういく基地」の愛称には、“今日行く(きょういく)所”の意味合いと、さまざまな世代が共に育み合う“教育の場”にもなるようにとの願いが込められているのだとか。

比較的、年代が高めの市民グループと大学生では、“基地”という言葉に対しても感覚が違ったようですが、「そんな意見のやりとり一つを取ってみても、私たちが一番大切にしたい多世代交流が自然にできていると喜んでいます」(三木さん)。

今後も話し合いを重ねながら、大学生との語り合いイベントなど、月1回は何らかの催しを行っていく予定だそう。

また、「これまで好評だった、おばあちゃんと大学生がおむすびを握りながら交流するイベントの発展形として、手作りおむすびを大学で販売できないか、そんな計画も持ち上がっているんですよ」と三木さん。「おばあちゃんにとってはやりがいとなり、朝食を抜きがちな大学生の健康サポートにもつながるのでは」。異なる立場の人が多数関わるからこそ、新しい発想が生まれやすいのかもしれません。

「次はいつ?」、イベントを心待ちにする声も

大学生もステージに登場、会場から声援が飛びます

取材時は、「みんなで楽しく歌いましょう♪~夏のうたごえ喫茶」と題したイベントを開催中。この日は15人ほどの高齢者が訪れ、サポートスタッフの大学生も含めると参加者は20人以上。

ゲストのボランティア団体「京都ピアノと歌の音楽ひろば」の3人によるリードで、「夏の思い出」を「さん、はいっ」と全員で歌うところからスタート。数曲歌ううちに、会場からリクエストが次々と飛び出してくるように。高齢者の隣には大学生が座り、「この曲知ってる?」「あ、歌えます!」などとコミュニケーションを取るほほえましい姿も見られました。

約2時間があっという間だったようで、終演時にはもう次が待ち遠しいとの声も。こうした交流の積み重ねが、高齢者から求められているサービスの気付きにもなりそうですね。

同施設への問い合わせは、「伏見いきいき市民活動センター」=TEL:075(646)4274=へ。

●きょういく基地=伏見区竹田醍醐町41 京都市改進市営住宅7棟北側(近鉄「伏見」駅より徒歩15分)。午前10時~午後4時30分、火曜・日曜休。駐車場なし ※誰でも利用可能な施設です

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