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浴室で、脱衣所で、若手作家9組のアート作品を発表

銭湯とアートがコラボレーション!? 9月27日(土)から1カ月間、京都市内の銭湯8カ所で初の「京都銭湯芸術祭2014」が開催されます。それぞれの銭湯で、浴室や脱衣所を利用して違う作家の作品を展示。入浴をしながらアート作品を鑑賞できるというものです。この期間は、〝はしご銭湯〟なんていかが。

入浴だけではない魅力をアート作品で感じて

「画廊では表現できないようなスケール感のある作品を描きおろしたいです」と日下さん。昔描いた「手首の内側の絵」を浴室に持ち込んで、作品の大きさの目安をつけていきます(写真左から、紫野温泉の中井弓子さん、西垣さん、日下さん)

「会場の下見を兼ねて1日に4カ所で入浴したときは、さすがに疲れました」と笑って話すのは、京都銭湯芸術祭実行委員会の西垣肇也樹(はやき)さん。子どものころから銭湯が身近な存在だったという西垣さんは、京都を中心に活動する油彩画家。「京都銭湯芸術祭2014」は、西垣さんと作家仲間ら5人で企画・運営されています。

「幅広い世代の人たちが出入りする銭湯は、入浴だけではなく、情報交換やおしゃべりを楽しむ社交場としても大切な場所。人と人がつながる銭湯の魅力を、もっと掘り起こしたいと思っています」と西垣さん。

そのきっかけとなるのがアート作品。「これまでの経験で、地域や人との関係がアート作品に変化をもたらすことを実感していて。京都ならではの芸術活動をしたいと考えたときに思いついたのが、銭湯でした」

立体あり、映像あり、パフォーマンスあり

今年5月、会場を提供する銭湯8カ所が決定。その後、23~35歳の若手作家を対象に、「つながり」をキーワードにした作品を募集したところ、約20人から応募が寄せられました。「パフォーマンス、立体造形、映像、絵画など多ジャンルの応募状況に驚きました」

紫野温泉

門前湯

大徳寺温泉

加茂温泉

若葉湯

龍宮温泉

京極湯

長者湯

選出された11人9組の作家のひとり、日下典子さんは、人間の体をモチーフにした油彩を手がけるアーティストです。一般企業に勤める傍ら、作品を制作。日下さんが担当する京都市北区の紫野温泉を訪ねると、店主の中井義昭さんから「どこでも自由に使って作品を展示していいよ。もともと銭湯は、けっこうおもしろい場所なんです。これも何かの縁やと思って、この試みが続くことを期待しています」とのエールが。

ほかの会場では、人間の形に彫刻された高さ60cmほどの石けんが入浴客が泡立てることで徐々に小さくなるという立体造形も。期間中に映像が撮影され、入浴客も出演するという作品もあるのだそう。お風呂につかって眺めるだけではなく、入浴客が作品制作にかかわるような趣向も楽しそうです。

「見知らぬお客さん同士の会話のきっかけになったり、芸術談義を繰り広げてもらえれば、うれしいですね。いずれは、京都中の銭湯でこの芸術祭を開催するのが目標です」とのことでした。

9月27日(土)~10月26日(日)。会場は京都市北区内が、紫野温泉・門前湯・大徳寺温泉・加茂温泉・若葉湯、上京区が龍宮温泉・京極湯・長者湯。定休日や営業時間は各会場で異なります。入場料(入浴料)は中学生以上430円、小学生150円、乳幼児60円。展示の詳細や会場の所在地などは芸術祭のホームページ(http://www.kyotosentoartfes.com/)で紹介されています。
※見学時は銭湯の利用を

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