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住民目線で選んだ「修徳まちなみ文化財」

修徳学区この9月、烏丸五条かいわいの「修徳学区」に、地域の人が選んだ44件の“文化財”が誕生しました。その名も「修徳まちなみ文化財」には、明治や大正の面影を伝える民家あり、町家の雰囲気を取り入れたマンションあり。散策すると、地域の人が誇る建物に出あえました。

時代の流行を感じるデザインも

「ほら、この建物(写真1)は、1階の格子窓の下に御影石調の石材があしらわれているでしょ?これは大正から昭和にかけて流行した建て方なんですよ。それから、こちらの建物(写真2)の2階の丸窓は、昭和初期にはやったデザインで、モダンな雰囲気を感じます」と話すのは小西宏之さんです。

小西さんは、修徳学区に生まれ育ち、修徳まちづくり委員会の一員として文化財の選定にもかかわっています。 「マンションの1階部分にあしらったひさしが、隣の民家の軒と同じ高さになっていますよね(写真3)。委員会の要望をもとに外観に配慮してくれた事例の一つです」

学区を歩いていると、「趣があってステキ」と、思わず足を止めて見てしまう建物の多いこと!
「修徳学区は、平安時代から続く由緒と、室町時代に始まった自治組織の伝統を併せ持つ地域。その特徴を伝承するのが、町並みだと思います」

 大正~昭和にかけて建てられた町家は、明治のものに比べて軒が高め

明治に建築され、大正に増改築された3階建ての町家

江戸〜明治の典型的な町家。珍しい三層の屋根が特徴的です

2階の丸窓には色ガラスがはめ込まれていておしゃれですね

マンション1階のひさしや外壁の色合いなど、町並みに配慮

修徳まちなみ文化財の選定を受けた建物には、15cm四方のケヤキ製プレートを設置

昭和4年建築、昭和60年改築の元店舗兼住宅。住人の女性は「文化財に選んでもらって、この建物を守っていく責任を感じています」

委員会では、町家風の現代建築を“平成の町家”(平成18年作成の“まちづくり憲章”で命名)と呼んでいるそう

〝修徳スタイル〟を模索中

左から篁正康さん、小西宏之さん、荒川晃嗣さん

文化財に対する地域の人の反応はというと、「選定をするときに、地域の人と一緒に建物を見て歩いたのですが、『今まで気にしたことがなかったけれど、いいものがいっぱいあるのがわかった』という声もありました」と建築士の篁(たかむら)正康さん。地域の人は、「宝物を見つけたみたい」と感動していたのだとか。

文化財といっても、公的な規制はありません。軒の高さや色合い、格子など、地域の人の“お眼鏡”にかなった外観の趣を重視し、学区独自で選定しています。

同委員会の荒川晃嗣さんは、「文化財の取り組みは、住民に町並みの景観を意識してもらうためのきっかけなんですよ」。そして、「修徳にふさわしいスタイルの町並みを、住民一人一人の生活を通してつくり上げるのが目標です。いずれは、地域の子どもたちに受け継いでいってもらえるようになれば」とのこと。

今後も、まちづくりの一環として、文化財の選定を順次実施。いつの日か、文化財の連なる通りがお目見えするかもしれませんね。

※修徳まちなみ文化財は、一般の民家などのため、内部の見学や案内は不可

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