神社に若手アーティストの作品が展示される「依代アートプロジェクト」。12月21日(土)まで、西京区の松尾大社や大原野神社などで行われています。神社の厳かな雰囲気と、個性的な芸術作品がどのように溶け合うのでしょう。
今年は、20年に一度、伊勢神宮の社殿を建て替える式年遷宮の年。この式年遷宮を京都からアートで祝おうというのが、「依代(よりしろ)アートプロジェクト」です。松尾大社、大原野神社といった京都市と八幡市の10の神社で21人のアート作品が展示されるというイベントなんですよ。
「作品テーマは『依代(よりしろ)』です」と同プロジェクト主催・運営の「神々への捧げものアートコンペ実行委員会」の堀川宏史さん。内神社権禰宜・京都府神社庁教化委員会資料部会長として、同プロジェクトの運営を担当しています。「〝依代〟とは、厳密に言うとご神体やご神木など、〝神さまが宿るもの〟のことですが、今回は京都と伊勢、離れたふたつの場所を結ぶ〝こころ〟を宿すアート作品を、このように呼んでいます」
展示期間や作家は会場ごとに異なりますが、松尾大社と大原野神社には計4人のアーティストが登場します。
たくさんの小さな鳥を描いた布を、松尾大社の拝殿などにディスプレーするのは、小林賀代子さんの作品「白の中で舞う」。鳥は、過去と未来をつなぐモチーフとして使われているのだとか。
同じく松尾大社の境内で目を引く酒樽(さかだる)が積み上げられた神輿庫(みこしくら)も展示場に変身! こちらの前には、酒の器をイメージした立体作品がズラリと展示されます。これは、三宅由里子さんが手掛ける「〝こころ〟をうつす器」。ここに来たら、ぜひ器の中を一つひとつのぞいみて。中にあるのは…。それは、のぞいてみてのお楽しみです!
大原野神社でも2作品が鑑賞できますよ。髙橋知佳さんは、社殿に向かって左側にある歌碑の前に、神鹿(しんろく)像を2柱展示します。「あむ、むすぶ」というタイトルのイメージ通りかわいらしい姿ですが、素材は細かい鉄線。このギャップもおもしろいですね。
社務所の北側では、イラストレーター・唐木みゆさんによる「お絵かき絵馬」というワークショップが。来場者には、唐木さんのイラストが描かれた絵馬を渡されるので、それに絵を描き足して。完成作品は境内の大きなモミの木に奉納。自分の作品もプロジェクトの一部になるというわけです。
「アートを通して、御遷宮について知るきっかけになってもらえたら。この取り組みは、今回がゴールではなく、20年後、第63回の遷宮へ向けてのスタートです。ぜひ、若い世代に目を向けてほしいですね」(堀川さん)
http://www.compe-kyoto.org/yorishiro/
■松尾大社(西京区嵐山宮町3)
・小林賀代子さん「白の中で舞う」 10月18日(金)まで
・三宅由里子さん「〝こころ〟をうつす器」 10月20日(日)まで
■大原野神社(西京区大原野南春日町1152)
・髙橋知佳さん「あむ、むすぶ」 11月1日(金)~12月1日(日)
・唐木みゆさん「お絵かき絵馬」 11月29日(金)~12月2日(月)
このほか、下記神社でも開催されます。詳細はホームページで確認を
■石清水八幡宮(八幡市八幡高坊30)
■上賀茂神社(北区上賀茂本山339)
■北野天満宮(上京区馬喰町)
■貴船神社(左京区鞍馬貴船町180)
■下鴨神社(左京区下鴨泉川町59)
■城南宮(伏見区中島鳥羽離宮町7)
■豊國神社(東山区大和大路正面茶屋町530)
■吉田神社(左京区吉田神楽岡町30)
※開催時間は会場により異なります。天候や会場の都合により、設置場所などが変更される場合もあり
※アート鑑賞は無料。ただし、豊國神社での展示(小坂学さんのみ)は宝物館内で行われるため、入館料が必要