食べムラがあり、体調のよくなかったペットの風太君。病院通いの一方で、気を配ったのが食事でした。
「人間と同じように、犬にも食育があることを知って…。ペットフードもいいのですが、自分で調理した食事を与え体調を管理することで、犬の健康に対して納得できるようになりました」と話す宮本弥生さん。この3月、人と犬が“同じメニュー”を楽しめる「わんこDeli&cafe Rui」をオープンさせました。前述の風太君は、宮本さんの愛犬で5歳のオス、同店の看板犬です。
「犬の手作り食は、食べさせてはいけないといわれる食材も量や与え方を工夫すれば、人間が食べるものと同じ材料が使えます。味付けは基本的に薄味で、犬用にアレンジ。そんな手作り食のことをもっと伝えたいと思っています。お客さんの中には、調理したものを食べさせることに驚く人も多いですが、犬はほぼ完食です(笑)」
もともとは、事務機の会社に勤めていた宮本さん。会社員の傍ら、11年には京都商工会議所の創業塾に通い開業への準備を整えていきました。「そのつながりで、場所探しや設計など、いろんな人からサポートしてもらいました。犬がきっかけで、すてきな出会いが広がったこともうれしいです」
料理が好きで、いつかは自分の店を持ちたいと学生のころから思っていたという西山春恵さん。飲食店などで調理や店舗管理の経験を積んできました。
「地元・山科の友達とご飯を食べに行くところといえば、京都の街中。地元にも、大人の女性が落ち着いて楽しめる場所がほしい。私自身が、強くそう感じていました」
そんな彼女の背中を押したのは夫でした。「これまでやってきたことだから、思い切って独立したほうがいい」と。
向日市商工会で開催される創業塾の情報を教えてくれたのも夫。「創業塾では、いままで培ってきたことを形にする手がかりを得ることができました」
かくして、11年春、山科にスペインバル「ハルバル」がオープン。西山さんと社員1人、アルバイト9人で店を切り盛りしています。
「スペインバルというジャンルになじみのない山科で分かってもらいやすいように、最初のころは、『洋風の居酒屋』と説明していました。いまでは常連さんも増えて、定着してきているなと感じます。街中から山科に足を運んでもらえる店にしたいです」
京都府が昨年度創設した「京都女性起業家賞(アントレプレナー賞)」は、新たなビジネスにチャレンジする女性を支援するための取り組み。第1回は、全国から83件にのぼるビジネスモデルの応募が寄せられました。
その中で、特別賞(京都リビング新聞社賞)を受賞したのが「ワーキングマザーを支援する!『長時間預かり型の学習塾』」です。
応募者の飛田梓さんは、右京区で小中学生を対象にした「あずさ塾」を経営。「常々、生徒の保護者から、“小1の壁”についてうかがっていました。小1の壁というのは、長時間保育だった保育園時代と違い、放課後の学童保育は時間が短く急な残業などに対応できない。学習習慣の身についていない年頃と分かっているが、仕事で帰宅時間が遅く子どもの勉強を見てやれない。といった、子どもの小学校入学と同時に働く母親が直面する問題のこと。指導者としても、小さいうちの学習習慣や生活環境の大切さを知っているだけに、保護者の声に不安を感じずにはいられませんでした。そういった不安を払しょくするような学習塾ができないかと考えたんです」
現在は、来春の開設に向けて基盤となる場所探しの真っ最中だとか。「最長午後9時まで預かり、学校の宿題にも対応。学校と塾、塾と習い事などの教室の送迎といったことも計画しています。子どもたちにとって居心地のいい場所であり、働くお母さんたちをサポートできる新しい形態の学習塾を目指しています」とのこと。
初年度はまず1カ所で開設。今後の展開に期待が集まりそうですね。