今年の中秋の名月は9月19日。夜空に浮かぶ月を、絵本の世界でもめでてみませんか。「月」がでてくる作品を、子どもの本専門店に紹介してもらいました。一人静かに、親子で、絵本で月見もすてきです。
イブ・スパング・オルセン作・絵/やまのうちきよこ訳
福音館書店 1050円
池に映った月を見たお月さまに、その月を連れてくるように頼まれた「月のぼうや」。「これが月かな?」「おいしそうだな」と、驚き喜ぶぼうやの明るさが、読む人をあたたかい気持ちに。縦長の絵本なので、空から降りてくるぼうやのイメージが視覚的にも湧きやすいですよ。
マーガレット・ワイズ・ブラウン作/ガース・ウイリアムズ絵/松岡享子訳 ペンギン社 1050円
「夜を見たい」とせがむアライグマのぼうやに、お母さんアライグマは「満月になるまで待ちなさい」とさとします。満月になるまでの間、ぼうやが想像を膨らませていろいろな質問を投げかける、そのやりとりから、未知の世界を楽しみにする子どもの期待感や、成長を見守る母の優しさが伝わってきます。
あまんきみこ文/渡辺洋二絵 文研出版 1260円
母親の帰りが待ちきれない子ウサギたち。月に映るウサギを見上げて「お母さん降りてきてよ」と呼んでいます。その様子を見守るのが、母ウサギが猟師に撃たれるところを見ていたやまんばです。さらに、そのやまんばを木の上で見つめる秋風の子、すべてを包むように輝く満月。他者を思う姿に、生きることの切なさと優しさがあふれています。
ジェイン・ヨーレン作/ション・ショーエンヘール絵/工藤直子訳 偕成社 1260円
月が雪を照らす寒さ厳しい夜の森へ、お父さんとミミズクを探しに行く少女。興奮した気持ちを抑えて、これまで兄がしてきたのと同じように、ルールを守り、ミミズク探しを成し遂げようとします。ちょっぴり背伸びをするような心の動きがほほえましくて心があたたまる一冊です。
E.M.プレストン文/B.クーニー絵/岸田衿子訳
岩波書店 882円
寝床を抜け出したアヒルの子ども。月が雲に隠れるのを見て「お月さまが食べられた」と慌てたり、池に映る月を見て「お月さまが落っこちちゃった」と驚いたり。そのたびに怒られてしまい、しょんぼり。そんなときキツネがあらわれてアヒルに危機が! 繊細な絵とテンポの良い展開に、ドキドキ。
紹介してくれたのは
「きんだあらんど」A
大隈慶さん
親子で読めば、子どもが喜ぶだけではなく、一冊の中に込められた思いを共有することができます。ぜひお子さんに読んであげてください。
「メリーゴーランド京都」B
鈴木潤さん
絵本は、小さな子どもから大人までが一緒に楽しめるのがいいところ。ページを開けば、いつでも物語の世界が広がるのが魅力だと思います。